メトロに乗ってやってきたのは、ベルシー駅。
夏のような日差しが眩しいベルシー公園。
今回もシネマテーク・フランセーズ La Cinémathèque française へやってきました。
この日は5月3日。
クリス・マルケル大回顧展の初日です!
猫!
チケットは11ユーロでした。
(57の番号札は、クロークで荷物預けてもらった控えです)
映画監督であり、写真家でもあり、作家でもあったクリス・マルケル。
1921年7月29日にパリ郊外で生まれ、
2012年7月29日、91歳の誕生日当日にパリで亡くなりました。
彼の回顧展でここまで大規模なものは初めてのことだそう。
実は私……回顧展初日に乗り込んでおきながら、彼の作品をほとんど見ていないのです。
ただ、『ラ・ジュテ』に途轍もない衝撃を食らい、その何とも他に例えようのない衝撃が私をシネマテークに送り込んだのです。
拙ブログでも何回か明言していますが、『ラ・ジュテ』は人生のマイベスト10に入るくらい好きな作品。
旅行日程と展示会期初日が重なったのも素敵な偶然。
初めて『ラ・ジュテ』に出会ったのは学生時代のこと。
まだフランス映画をさほど知らなかった当時の私は、モノクロ写真を連続して映し出して、「ボソボソボソボソ アザブジュバン」と何言ってるかわからないフランス語の暗いナレーションのみで構成されるこの作品を観終わった後、今まで感じたことのない、不思議な感覚に陥りました。
後に二回、三回、と繰り返して観ることで、その感覚を”途轍もない衝撃”と表すことで腑に落ちたような。(フランス語はだいぶ聞き取れるようにはなったけど!)
ふとした瞬間に『ラ・ジュテ』の絵が脳裏に浮かび、軽い目眩が起きるように「また観たい!」と思わせる作品なのです。
その『ラ・ジュテ』の!
コンタクトシートが!
実物が!
ああ!!卒倒!!
クリス・マルケルは62年(前回の東京オリンピックの年)に来日して、『不思議なクミコ』という作品を作っています。
それ以来日本と深い関わりを持つようになったようですが…展示入ってすぐのところに、「かつお」の日本語があってびっくり。
(猫の写真はご本人の愛猫ギョーム君♡)
この展示の紹介文に
L’exposition Chris Marker est un voyage.
とあります。
キューバ、ベトナム、チリ、サラエボ…数多くの国を訪れ、第二次世界大戦も五月革命もレジスタンス運動も様々な時代を生き抜いたクリス・マルケルの回顧展を表すのに最も相応しい言葉!
そして猫!
時代も国境も職業も超え、旅するように巡るエクスポジション。
膨大過ぎる展示数なので、じっくり見ていたら丸一日かかりそうです。
Exposition Chris Marker, les 7 vies d’un cinéaste
http://www.cinematheque.fr/cycle/chris-marker-les-7-vies-d-un-cineaste-441.html
2018年5月3日~7月29日まで
La Cinémathèque française
51 Rue de Bercy, 75012 Paris
12:00 – 19:00
火曜休館
辞書のように超分厚いカタログは45ユーロ。
そういえば…何度かシネマテークの展示には来ていますが、写真撮影OKになったのですね(ただしフラッシュ撮影はNG)。
ちなみに『ラ・ジュテ』のBlu-layは今年発売になりました。
押井守監督ファンの方も是非に。