フランソワ・オゾン『Ricky リッキー』

フランソワ・オゾンの『Ricky』(リッキー)の試写にお邪魔しました。

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7歳の娘リザと暮らすシングルマザーのカティは、恋人パコとの間に新たな子ども、リッキーを授かる。しかし幸せな日々もつかの間、すれ違いからパコは家を出ていってしまう。そんなある日、リッキーの背中に翼が生えて空を飛ぶようになり、世間を巻き込んで大騒ぎになってしまう――

日本版予告編はこちら


原作、英語での原題は「MOTH」。
光に向かって羽ばたく蛾。実にオゾンが食いつきそうなタイトル。

出演者はいつものオゾンファミリーでなく、アレクサンドラ・ラミー、セルジ・ロペス。
どこにでもいるような彼女が主役だからこそ、繊細な感情がひしひしと伝わってきた。
人間離れしたセルジ・ロペスの胸毛は実に野性的。
「動物みたい」と言いながら撫でるカティ。
二人の間に出来た子供は、ぷにゅぷにゅほっぺのリッキー。
かわい過ぎ。
ほっぺたのぷにゅぷにゅ度合いは自分の小さい頃を見ているようだわー

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(えっ今と変わりないって。。。?)

リザが7歳で早くもクールビューティ。
(32歳の誕生日を迎えた自分よりも、なぜだろう、大人びて見えるのは。)
リザにとってはパコはパパではなく、家族として受け入れることができない。
泣き喚いてばかりのリッキーも弟と思えない。
突発的でできたつぎはぎ家族に、笑顔はあっても幸せはなかった。
不協和音が漂い、ちぐはぐなまんま。
喧嘩は絶えず、遂にパコは家を出て行ってしまう。

しばらくして、純粋無垢な笑顔のリッキーの背中に、羽が生えてきた。
それは天使の羽でもあり、赤の他人同士を真の家族へと橋渡しする魔法の羽。
羽が成長する過程が妙にリアルで、『ホームドラマ』の延長的なグロテスクさがあるのかと思いきや、とっておきのファンタジーだった。
異常なまでに綺麗なラスト。
『まぼろし』に通じる、観終わった後のなんとも言えない心地良さ。
ただ単に「人生って素晴らしい!」って訴えかけない、独特の余韻。
非現実的で完全なフィクションなんだけども、どこか現実味を帯びているオゾンの魔法に、またもやられてしまった。

ストーリー展開について
「よくあるフラッシュバックに慣れている観客は、冒頭のとても現実的なシーンで、この話が社会的なテーマを扱ったドラマだと勘違いしてしまう。その期待を裏切って、後からファンタジーで驚かすのは楽しいですね。」
とオゾン。
くう。悔しいけどその手法にはまったよ。

異常なまでに、と言えば、カティ…ドジ過ぎる。

『Ricky』は2011年正月第1弾作品、Bunkamuraル・シネマほかにて公開です。