カイエ・デュ・シネマ週間『イレーヌ』『ステーキ』『タイヤ』

日仏学院でカイエ・デュ・シネマ週間
土曜日に鑑賞した三本の備忘録。


『イレーヌ』アラン・カヴァリエ

映画監督とその妻イレーヌ。強い絆で結ばれた関係は、複雑で陰影に満ちたものでもあった。交通事故で亡くなったイレーヌ。何年もの月日を経て見つかった彼女の日記を通じて、映画監督は40年前に他界した最愛の人との対話を試みる。

英語字幕。
単純で淡々と進められる。
撮り方が対象との対話形式。ものすごくシンプルだけど、何故かものすごい空虚感を覚えてしまった。
魂を吸い取られてしまいそうな感覚。
好きか嫌いか問われたら好きな領域には入るけど、私ごときの器では到底評価の仕様がない。


『ステーキ』カンタン・ドゥピュー

2016年、ファッションと美しさの基準は現在とは大きく異なっており、若者の間では肌のリフティングが新しい流行となって爆発的な人気をはくしていた。大学を卒業したばかりで、最近リフティングを受けたジョルジュは、夏休みを利用して“シバース”という極度のリフティングを施したグループに加わろうとする。ジョルジュの元幼馴染ですっかり落ちぶれてしまったブレーズもまた“シバース”の一味になろうと試みるが…

びびった。
2016年って設定ってのは全く伝わってこない。
笑うタイミングもよくわかんない。
’80のB級アメリカ映画観てる感じ。
フランスで大コケしちゃったらしい。
allociéの観客評価1.7☆って…)
主役のEric et Ramzyってのがフランスでは大人気のコメディアンだけに、期待が高かったのかしらー。
まあ、こういう機会じゃなきゃ観れなかった作品だなー。


『タイヤ』カンタン・ドゥピュー

カルフォルニアの砂漠の中、人々は、奇妙にも若く美しい娘に心惹かれるテレパシー能力を持った殺人タイヤの冒険という信じがたい状況を目にする。

全篇英語。主人公:タイヤ。
なんじゃこの設定…
「不条理=理由なし」
この映画の定説へのオマージュとのこと。
…これまたよくわからない。
コメディ?ホラー?なんの部類?
近くの席で日仏学院長が笑っていたシーンも、全然面白くない。
かなり戸惑ったが、後のトークショーを聴いて、ドゥピューの思う壺だったかと思うと、ちょっと悔しい。


カンタン・ドゥピューは、MR OIZO(ミスター・オワゾ)というアーティスト。
PVやCM作ったりする方で有名らしい。
渋谷系という単語が全盛期だった頃にレコード買ったけど
個人的には全然好きじゃない。

もちろん持ってもないし、聞いてもない↓

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カイエ・デュ・シネマ編集委員のジャン=セバスチャン・ショーヴァン氏が来日していてトークショーがあった。
カンタン・ドゥピューの作品は「フランス映画っぽくない」から、是非今回のセレクションに入れたかったとのこと。
フランス映画で「不条理」というのは稀有な存在であるから。
『タイヤ』は、国からの助成金をもらうと手続きに時間がかかるから…ということでほぼひとりで制作。
二週間で撮了っていうからそれはすごい。
「自閉症的な映画」っていう例えが妙にしっくり来る。

カンタン・ドゥピューを例に挙げ
「今、フランス映画界は進化を遂げようとしている」
「フランスから離れようとしている」
とも。
「フランス映画の父を持たない」んだと。
ヌーヴェル・ヴァーグの影響を受けない、
フランス映画という枠から飛び出そうとしているんだと。
ジャンヌ・バリバールが来日したときに「私たちはヌーヴェル・ヴァーグの子です」と言っていたのが脳裏を過ぎる。

ロメール、シャブロルという今年御逝去された二人の偉大な監督についても言及していた。
そういえばシャブロルには後継者がいない。
フランス映画界特異な存在。
リュック・ムレ(私誕生日一緒★)やデプレシャン、マチュー・アマルリック、モーリス・ピアラ、ジャン・ユスターシュ…色々聴けて充実した時間だったけど、ちょっと纏め切れない。。。。
長い長い飛行時間で復習しまっす。