『15時17分、パリ行き』 Le 15h17 pour Paris/The 15:17 to Paris

パリ行き。

なんて心躍る言葉!

オリンピック観てるときにCMで幾度となく流れていたこともあり、
完全に映画タイトルに惹かれて観に行きました
『15時17分、パリ行き』(The 15:17 to Paris)。

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追記はネタバレを含みます



予告編でも取り上げられていましたが、
この物語、「タリス銃乱射事件」⇒(Wikipedia)を描いた、ノンフィクション。
クリント・イーストウッドの作品は前作「ハドソン川の奇跡」も実話を基に描いていて
とてつもなく感銘を受けたので、今作もかなり楽しみにしていました。

『ベティ・ブルー』のジャン=ユーグ・アングラードもその列車に乗っていたことでニュースになっていたので、この事件の存在を知りましたが(⇒Jean-Hugues Anglade : «Ça sentait la mort»
その3か月後にパリ同時多発テロが起きてしまったので、すっかり上書きされてしまった…
もしかしたらこの映画の存在がなかったら、私の中でこの事件は風化して、完全に忘れてしまったかもしれない。

アムステルダム15時17分発、パリへと向かうタリス車内。
犯人は約270発もの弾丸を所持していたのに、勇敢な彼らのおかげで
554人の乗客乗務員のうち死者はゼロ、負傷者は3人。

しかも主役3人は、本人役で出演。
演技力は目を瞑ろう…と思って最初からハードル下げて観ていたから、
大根役者っぷりはそんなに気にならなかったです(^^)

予告編は事件発生時のときにフォーカスを当てていて
私も「電車に乗ってから事件発生~解決~その後」
を描いているものとばかり思っていたのですが
事件そのものを描いているのは、90分中…15分~20分くらい?

3人の生い立ち(小学生時代!!)からの時間がものすごく長くて、
そのあとのヨーロッパ旅行の時間も結構尺を割いてて…
事件というよりは、3人の「人となり」に重きを置いて描いています。

大スクリーンで観るイタリアの風景は美しかったけども
『ぼくたちのヨーロッパ旅行』って映画観に来たんだっけかなー、、
『15時17分、パリ行き』観に来たはずなんだけど!
くらいの感覚で、途中少しなんだかよくわからなくなった。

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Copyright 2016 Warner Bros. Ent. Alle Rechte vorbehalten

旅の途中で悉くパリ行きを非難されるのは、もちろん伏線でしょうけど
「え、なんで!?なんでパリがダメなの!?」
って一人ぷんすか感情的になっていました。。

偶然旅の途中で出会ったムッシュに「あの街は最高だぜー」って言われて向かったアムス。
かわいい女の子と強いお酒以外、アムスなんてちっとも映ってなかったけど・・・(あ、あと駅か!)

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Copyright 2016 Warner Bros. Ent. Alle Rechte vorbehalten.

パリ同時多発テロのときは、事件そのものはもちろん怖かったけども
すさまじい速さで逃げ回る人々を見て、恐怖が増した。
自分も(未遂で終わったけど)テロ直後に怖い思いをしたのですが
(当時の記事⇒「死ぬかと思った」
そのときの恐怖が走馬灯のように脳内を駆け巡ってきた。
エキストラの人たちの怯える様子がリアルだった。
逃げようにも、出口がない、走行する列車の中。
どんなに恐ろしかっただろうか…

犯人が現れる。
一人撃たれる

銃で撃たれた他の乗客・マークに
「奥さん、彼を寝かせちゃだめだ!話しかけて!会話をつないで!」
ってスペンサー。
自身も頭部を切られて血だらけなのに、マークの止血に必死。
こういうときは会話を途切れさせないようにしないといけない、と知識はあっても、実際に行動に移せるかどうかは別。
感心しているときに
「名前はなんだ?」「…マーク」
「俺はスペンサーだ」
てやりとりがあったんだけど、
“寝かせちゃダメ”という考えがあったから
「二人合わせてマークス&スペンサーだね!」
みたいなセリフがくるのかと期待してしまった自分…すみませんでした。

それでもあの「なんだかよくわからない」セルフィ―撮ったり女の子ナンパしたりっていう
普通のお兄ちゃんたちの、普通の旅行記の尺があったからこそ
最後の、レジオン・ドヌール勲章授与式でのオランドの言葉がぐっと響く。

途中「なんだこの旅日記」くらいに思っていたけど、
今思えばほんとあの恐怖が90分も続いていたら、観ていられなかったかもしれない。
彼らの人間性を知ったうえで、テロの恐怖・事件の全貌・緊張感をあんなに短時間で描いているのだから、すごいこと。

「もしスペンサーが自衛官じゃなかったら」
「もしあのときアムステルダムを勧めてくれたムッシュに会わなかったら」
「もしあのときみんなの言うことを聞いてパリに行こうとしなかったら」
「もしあのとき二等車でもWi-fiが使えていたら」
「もしあのとき一等車に移動しなかったら」

様々な偶然が重なって防ぐことができた最悪の事態。
事実は小説よりも奇なり とはまさにこのこと。
最後の20分で、全部持っていかれたなあ。ブラボー!

それにしてもスペンサーさん、この事件のすぐ後に、地元でも刺されている…
しかもやっぱり人を助けようとして。
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