「夜明けの祈り」 Les Innocentes

今年のフランス映画祭で観客賞を受賞した「夜明けの祈り」を観てきました。
アンヌ・フォンテーヌ監督作品の中で、個人的ベスト。

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Copyright Mars Distribution

遠い昔の、遠い国の出来事のように思えるけれど、
状況や背景は違えども、今も尚このような惨事が世界中で繰り返されているのが悲しい事実。。。
監督の強いメッセージを、しかと感じる作品でした。
これが事実に基づいたお話とは…!

以下、少しネタバレ含みます。

物語は出産間際のところから始まるので陵辱のシーンは映し出されず。
けれど修道女たちの悲痛な表情から、どれだけ彼女たちが酷い暴行を受けたのか察することができます。
マチルドも然り、出産間際の彼女たちの言葉や表情から壮絶な絵を想像していたのだろうけども、
未遂で済んだとはいえ自身が同じような事件に巻き込まれるようなことが起こってからは
より他人事という考えが消えたのか、修道女たちへの接し方も少し変わったように思えました。
それは観客側も一緒なのかもしれません。

マチルドのそれも、目を覆いたくなるくらいつらいシーンでした。
そのシーン以降は、彼女たちの気持ちに寄り添うようにして見るようになったような。

作中、「信仰とは、24時間の疑問と、1分の希望」という台詞があります。
この台詞を放ったシスター・マリアは、修道院に入る前は彼氏もいたし、花柄ワンピースを着こなすおしゃれさん。
どこかで心の揺らぎが見て取られるんだけども、なぜ彼女が修道院にいるのか。
1分の希望がどれだけ強いものであるのか。それが修道女たちの生きる道標となっているのか。
信仰に対して、無宗教で無神論である自分にとっても腑に落ちる、印象的な言葉でした。

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Copyright MANDARIN CINEMA – AEROPLAN FILM – MARS FILMS / ANNA WLOCH

さて主役のルー・ド・ラージュちゃん、衝撃作「Respire」ではあんなに悪そうな高校生だったのに(失礼)、すっかり大人の女性になりました。
眼力とか、台詞がないときの演技とか、どことなくエマニュエル・ドゥヴォス女史を彷彿とさせる、大女優の風格がありました。
顔が似ているわけではないんだけど(本当に失礼)。

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Copyright MANDARIN CINEMA – AEROPLAN FILM – MARS FILMS / ANNA WLOCH

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本作での私の初涙は、ヴァンサン・マケーニュの優しいまなざしでした。
彼はやっぱり極上に「いい人」役がお似合い。

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Copyright MANDARIN CINEMA – AEROPLAN FILM – MARS FILMS / ANNA WLOCH

今年のフランス映画祭はほんと純粋に見たい作品がたくさんあったから…
この作品もこんなに早く劇場で見ることができてよかった。
それにしても今年は映画館でよく泣くなあ…