『やさしい女』 Une femme douce

13日から新宿武蔵野館でもネット予約サービスが始まったー!
便利~!うれしい~!

というわけで、早速オンライン予約してロベール・ブレッソンの『やさしい女』デジタルリマスター版を見てきました。

かわいい顔してなにげに15歳で結婚してスピード離婚…という
早熟で過激な私生活を持つドミニク・サンダのデビュー作。
原作はドフトエフスキー「やさしい女 幻想的な物語」。
舞台をロシアからパリに変えて映画化。
1986年に日本公開されて以来、ソフト化されていない(フランス版も)という幻の名作。
3381/16838″ target=”_blank” rel=”noopener noreferrer”>

蓮實氏のコメントにもあるけど、ドミニク・サンダが実に「艶めかし」くて、眩しい。
「艶めかしい」という形容詞は彼女から生まれてきたんじゃないかってくらいに、素晴らしいのだ。

3381/16839″ target=”_blank” rel=”noopener noreferrer”>

大好きだ。
ブレッソン作品には嫌いになる要素がひとつもない。鬱陶しい時間が一瞬もない。
台詞を極力排除しているだけあって、聴き取りやすくて(フラ語学習者にとってはとても優しい)ストレートに伝わってくる。
音もいい。
静かに鳴り響くどこか恐怖感のある足音、車のクラクション、そして突然かかるレコード。
そして静寂の時間もまた、よきBGMとなり。

結婚と言う制度に縛られ苦しむさまはなんとなく日本的な感じがしたな。
“スープ、ふーふー”するのがやたらキモく感じて
汚いものを目にするように夫を見つめる妻。
もうそのときは既に(ていうか最初からそうだけど)
妻は夫のことを男として見れないんだけども
男のほうも、結婚して自分の“所有物”となった時点で既に
女としては見ていなかったと思う。
結婚した次のシーンから、明らかに
「幸せにするよ」のときの“特別な”存在の人を見る目じゃなくなってるもの。
男と女以外に、第三者である家政婦の視線も妙に怖かったな。

人を愛することは簡単だけれども、
結婚と言う制度で家族にだってなれるけれども、
その愛を持続させることって本当に難しい。
でも人を愛することすら難しい女にとっては
経済力以外はなにひとつ満たされることはなかった。
永遠に理解し合えない二人にとっては、この結末しかないのかな…

3381/16842″ target=”_blank” rel=”noopener noreferrer”>

舞台がパリと言うのもよかったー。
名言「すべてが無理」を生み出した動物園は、自然史博物館↓
http://www.mnhn.fr/fr/visitez/galeries-jardins-zoos
公式Twitterでも書かれていましたね)
そしてブラッスリー・リップ、ラ・ユンヌ、ドゥマゴ…と(店名の字幕付き☆さすが寺尾次郎さま)
60年代のサン・ジェルマン・デ・プレを大スクリーンで拝めたのもまた恍惚でした。

どーん、と重い重い作品だったけど、早くも今年のマイベストになる予感…!!

『白夜』もそうだけど…DVD化、お願いします!

やさしい女・白夜 (講談社文芸文庫)