記者会見には、マスコミでない一般の方も参加可能でした。
(ただしマスコミ以外は撮影禁止)
マチュー
日本に来ることは本当に喜ばしく嬉しいこと。
最初の来日はデプレシャンと一緒でしたが、毎回そのときと同じように感動します。
日本のマスコミの方からの質問の質の高さ、映画に対する造詣の深さは、フランス人ジャーナリストも是非見習って欲しいと思います。
谷田部さん
ラリユー兄弟の、他の監督との違いはなんでしょうか
マチュー
C’est un monstre de tête!(笑)
兄弟というのは非常に大きな強みだと思います。
二人とも力強く、ピレネー山脈の熊のような人たちですよ。
兄のジャン・マリーは社交的、弟のアルノーはもの静かで俯瞰的に見るタイプ。
一人で監督をするときは自分のやりたいことを自由に出来ると言う素晴らしさがありますが、この二人が監督をすると、一方は具体的に、ディテールを作り、一方は俯瞰的に全体像を作り上げる。これは二人で監督をするという強みでもありますね。
記者
この作品への出演のきっかけは?
マチュー
監督を志してこの世界に入ったので朝起きるとまず自分の監督作品について考えるくらいなんですが…偶然にもデプレシャンが、僕の俳優生活を「発明」してしまって(笑)、そのまま俳優になったんですが、それは想像もしないことでした。
そしてまた偶然にもラリユー兄弟作品を見に行ったときに、関係者に「ラリユー兄弟がそこのカフェにいるんですけど、もしこの作品をお気に召されたのなら話しかけられてはいかがですか?」と言われたんです。それがラリユー兄弟の作品に出たきっかけですね。
自分の監督作品につぎ込む時間を「盗んで」、彼らの監督作品に出る…これは「友情」という契約があるからこそなんですね。
この作品への出演理由は、残念ながら「シナリオが気に入った」とか「この役がやりたかった」とかいうことはないんです。
僕がいい作品をつくると彼らはジェラシーを感じてしまって、それで僕の監督としての時間を奪ってまで俳優業をさせたがる。だから僕は彼らのことを恨んでるんだけど(笑)
でもラリユー兄弟と過ごす時間はすごく好きで、僕を女優のように撮ってくれるのも気に入っています。日常生活で表現するのが難しいところを描いている作風も好きですね。
記者
殺人を犯すシーンがない連続殺人犯という役柄、難しかったのでは
マチュー
主人公自身も、自分が何をしているのかわからない、記憶に穴が開いているという役柄なので、そこは特に難しくはなかったです。
それよりも、サラ・フォレスティエに官能的に迫られて、欲望を抑える方が難しかったですよ(笑)
記者
2002年のフランス大統領選のときにフランス映画界の人たちがルペンに対する反対運動をしましたが、今後そのようなシネアスト運動に参画することはありますか
マチュー
(表情が…一気に…変貌しました…)
C’est terrible…
日本に来るとそのような怒りはすっかり忘れていたのですが…
今フランスでは、恥ずべきことが起こっています。
今回は16歳の息子と来日していていますが、2002年当時、行動をおこしていたのも高校生が主体でした。
今もレオナルダ事件をきっかけに、高校生たちが抗議行動をおこしています。
普段は目覚めの悪い息子たちも、朝4~5時に起きてこの事件に対する抗議をしています。
そのような抗議行動があるのであればまだ今後のフランスに希望は持てるのですが、ルペン氏に対するオランドの対応は本当に嫌気がさします。
つい先ほど、デプレシャンからも抗議文を書いていると言うメールを受け取りました。
僕も彼らに賛同する意向です。
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すっかり表情が変わってしまったマチューですが、サイン会のときにはいつもの優しい表情に戻っていました。
マチューには何度かサインをいただいているのですが、ラリユー兄弟作品のDVDにはまだだったので、Les derniers jours du monde にサインをいただきました。
この作品のマチューの脱ぎっぷりはハンパないよ。セルジ・ロペスの「服着てても熊」な野生っぷりには負けるけど。
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「ラヴ・イズ・ア・パーフェクト・クライム」上映後のQ&Aで山の質問が出ていたけど、
ラリユー兄弟とマチューはいつしかのフランス映画祭で来日したときにも一緒に富士山登山したとか、
すっごい山好きなんですよね。
平野に囲まれて育った田舎者の私は都会に憧れて、無い物ねだりからか、旅に出ても都市のほうを好むので…生まれ育った地の風景を愛し、それを撮り続けて作品にしていくって改めてすごいことだなと感じました。
だからすごいよ、あの質問した人!(笑)
マチューは今頃、京都でバカンス…