サルトルとボーヴォワール 哲学と愛 Les Amants du Flore

26日に公開初日を迎えた『サルトルとボーヴォワール 哲学と愛』を観てきました。

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オープニングで「TV3」とあったけど、フランスでは映画での公開ではなくTVドラマのみだったのですね。
原題は『Les Amants du Flore』(フロールの恋人たち)。
サルトルとボーヴォワールが足繁く通った、パリ・サンジェルマンのカフェ・ド・フロール!
作中にもたびたび登場。

哲学的でいかにもインテリな台詞が満載なのかと思いきや、軽快なジェズをBGMにし、やたらリアルな行為の描写の数々…
偉人でも、一人の男と、一人の女。
彼らの偉業よりも人間性を描いていたので、予想していたよりもかなりカジュアルに作品に入り込めました。

自由恋愛とは浮気OK、そして浮気を嘘偽りなく相手にも報告するということ。
公式サイトのコメントで、夏木マリ様は「愛の共犯」と。
なんて美しい表現なのだろう。

女は働くものではない、という時代に第一線で活躍していたボーヴォワール。
その彼女が苦悩するさま、モヤモヤ煮え切らない葛藤、決して表に出さない嫉妬の念…
アナ・ムグラリスといえば、最近では同じく“自立した女性の象徴”であるココ・シャネルを演じていましたが(あと「ゲンスブールと女たち」のグレコも!)、そのせいか、鉄仮面的に感情を露にしないイメージが刷り込まれてしまっていたこともあり、ボーヴォワールがこんなにも愛に揺れ動く人間だったのかと驚愕した。
しかも“小男”サルトルに。
彼女にとってサルトルは愛を超越した存在ではあったのだろうけれども…
そして初めての「快楽」はアラフォー、ネルソン・オルグレンと。ってのもなんだなかな。
彼女のイメージがガラガラ崩れ落ちて行くような悲しさを感じつつ、彼女も同じ人間だったということに喜びを感じつつ。。。

サルトルを演じたのはロラン・ドイチェ。
一般的な女性目線からすると「ありえない」小男なんだけど、実際はイケメン。
彼のパリガイド「Métronome」はベストセラー。日本でも、欧明社さんで見かけます。

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この作品の監督はイラン・デュラン=コーエン。
彼の作品『カオスの中で』は、ものすごく前のフランス映画祭で観た記憶があります(調べたら2001年だった!)。ジャンヌ・バリバール主演の映画も撮ってるんですね。
何作か撮っている割には荒削りな印象も受けてしまいましたが、これだけ濃厚な二人の伝記映画を2時間以内に収めるとこうなってしまうんでしょうか。
ニザン、モーリヤック、カミュ…と様々な有名人も登場するのですが、結局は通過点でしかなく、あまりにも駆け足過ぎる展開。なのに行為シーンは長く。うーん、腑に落ちないまではいかないけれど、ちょっと消化不良。

コーエンさん、演歌好きが興じてGinjirô Sweetというフランス人演歌歌手のプロデュースもしているとか(日本語曲も!!)…そんなハチャメチャな感じ、嫌いじゃないです。

Ginjirô Sweetのmyspaceページ

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