『しあわせの雨傘 Potiche』でフランス語を学ぶ。その3

日仏・映画の授業。
復習を兼ねて記事にしています。
・1回目はこちら
・2回目はこちら
ネタバレ満載なので、未見の方はスルーしてください…

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工場長であるロベール(ファブリス・ルキーニ)は入院することに。
じゃあ不在の間、誰が工場を仕切る?で、ババン(ジェラール・ドパルデュー)と秘書のナデージュ(カリン・ヴィアール)を交え家族会議。
普通に考えれば、長男のローラン(ジェレミー・レニエ)が継ぐことになる。

Ah, non, désolé. La direction d’usine, ce n’est pas pour moi.

父親と同じ道を歩きたくない芸術派のローランはバッサリ。
誰も頼んでないけど長女のジョエル(ジュディット・ゴドレーシュ)が「Moi?」と。
表情を良く見ると、実は工場で働きたい思いがにじみ出ているジョエル。
それもそのはず、自分の夫とは離婚する気だし、母シュザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)のような専業主婦(お飾りの壺・Potiche)にはなりたくない。社会に出て働き、自立したいのだ。

Non, pas elle. Elle serait pire que papa.

とまたローランがバッサリ。
ちょっと動揺して、離婚を考えている夫の名前をだすジョエル。
今度はジョエル以外全員口を揃えて

OH NON, PAS LUI!

そこでババンが Pourquoi pas vous, Mme Pujol?
とすかさず提案。創業者の娘であり、社長の妻でもあり ça se justifierait(当たり前のこと)だと。
右も左もわからないわ、ととまどうシュザンヌ。

Il ne s’agit pas de diriger l’usine à proprement parler.

とローラン。(このà proprement parlerはau sense propre。 正確に言えばー、みたいな。)
社長椅子に座ってればいいんだよ、となだめる。

Fais ce qu’on dit, Mieux vaut toi que quelqu’un d’autre. D’ailleurs on n’a pas le choix.

とロベール。他の誰かが社長になるくらいなら、シュザンヌ「で」いい。みたいなニュアンス。消去法的な。
「あなたが言うなら」と引き受けるシュザンヌ。
そしてロベールは救急車に乗って病院へ。

さあ労働組合が工場で待っている。急いで準備をしなければ。

ババン Bon, dans quel état d’esprit allez-vous rencontrer le comité ?
(état d’esprit=idée)
シュザンヌ Moi, je suis pour la conciliation. À condition, évidement, qu’ils n’en demandent pas trop.
(和解するつもりよ、もちろん、彼らが多くを要求してこないならね)

いやいや、ロベールの独裁政権下で働いていた従業員、要求は山ほどある。
そんなわけでtopo(説明、ここではカンペみたいな感じ)を用意することに。

シュザンヌはババンが用意する言葉の冒頭「Messieurs」が気に食わない。「Mes amis」の方がいい、と。
ババンは不満を言いながらも続ける。「Je suis qu’une femme, mais…」
なんてmisogyne(女卑)なの!と怒り出すシュザンヌ。
あー、もう好きにしろ、とババン。もう時間がない。行かねば。

Moins on les fera poireauter, mieux ce sera. Allez, on y va.
(poireauter=attendre longtemps)

って言ってるにも関わらずー!シュザンヌったらやっぱり女性。
「こんな格好じゃいけないわ!ちょっと待ってて」とお色直し…

ローランとババンの不思議な2ショット。
ババンは「ロベールを好きじゃない」という共通点があるローランに興味を示す。
カンディンスキーが好きだ、というローランに、知ったかぶりで必死に話を合わそうとする。
と、ゴージャスに変身したシュザンヌの登場~。

Opération prestige!

それは工場には不釣り合いのフリフリドレス。
や り す ぎ!
でもこのドレスは、紛れもない、若かりし日にババンと出会ったときに着ていたドレスだった―
って、突っ込むところは「え、いや、ドヌーヴ様、ちょっと体型違いますよねえ?」なんですけどね…

そして工場員と和解へ――(中略)

従業員思いの創業者である父の血を継ぐシュザンヌの力で、瞬く間に工場の雰囲気はよくなっていった。
父と同じ工場で働くことを嫌がっていたローランも、デザイナーとして力を発揮。
けれどジョエルとは少しうまが合わない。

工場経営も軌道に乗ってきたある夜、ババンとシュザンヌは二人きりでBadaboumという名のディスコへ。
このBadaboum、冒頭でロベールに「お前は行くな」と言われていた場所。
若い女の子が「田舎者(ババン)がブルジョワーズ連れてきてる!」とひそひそ話。
「ねー、あれ、プジョルさんじゃない?」
「Pujol? Notre Pujol?」
この「Notre」ってだけで、この女の子たちがロベールと(性的な)関係があるってことを理解しなくてはいけないのです。ふう。

ここからの数分間、オゾン監督はめいっぱい楽しみます。

嬉しそうなババン、満面の笑顔で踊るシュザンヌ。
見ているこちらも思わず笑顔。

では今回の授業のおさらいはここまでー

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