フランス映画な日々。現代フランス映画の肖像

MyFrenchFilmFestival、下高井戸シネマでのロメール特集、シネセゾンのクロージング上映、フィルムセンターでの現代フランス映画の肖像などイベントが重なり、今年に入ってから短編も含めてフランス映画だけで推定50本以上は鑑賞しています。

日仏での授業、今学期はPauline Anderton(架空の歌手ね)のジャズが心地よい『La Vérité Ou Presque』が題材。
カリン・ヴィアール主演。夏のリヨンを舞台に様々なアムールが錯綜していて、軽快で面白い。
多分映画館で観たら物足りないようなシナリオなんだけど、同じクラスのマダムたちと「ちょっとあの男は優しすぎて物足りないわよね~」「なんでこういう展開になっちゃうのかしら~」なんて語らいながらちょっとずつ習っていくので、スペクタクル要素が増量されて面白さは倍増。映画観ながら他の人の感想聞くことなんて普段はないものね。
毎週どなたかからいただくお菓子も嬉しかったり。

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授業後はフィルムセンターの特集上映へ向かう流れが定着してきたこの二ヶ月。
フィルセンでの特集は、今までフランス映画祭で上映していて日本公開に至らなかった作品なので、鑑賞済みの作品も多くあるんだけど、こうして改めて観ると記憶からポンッと抜けているものも。
全然レビュー書けてないので、もう既に忘れちゃったのもあるけど…

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斧 LE COUPERET

会社の方針により突如解雇されてしまった元上級管理職のブリュノ。絶望の淵へと追いやられてゆく主人公を、喜劇俳優として名高いジョゼ・ガルシアが熱演している。『Z』(1969年)『ミッシング』(1982年)などで知られるコスタ=ガヴラスの作品。共同プロデューサーとしてダルデンヌ兄弟も加わった。

15年間も従順に勤めてきた会社をいきなりリストラ。
なんてことない平凡なサラリーマン、妻の稼ぎだけでは家族を養っていけない。
平凡だけれども無駄にあるプライド、再就職先がなかなか決まらない焦り。
「自分よりも能力がある人物を消せばいい」…浅はか過ぎる動機で、ブリュノは連続殺人犯になる。
失業率が異常に高いフランスへの痛烈な批判の中にユーモアを交えながら、それでいて息が詰まるほど緊迫したスピード感のあるサスペンス。
殺人という最悪の罪を犯した後に必ず目に入ってくるランジェリー(?)広告で一瞬張り詰めていた心理状況を和らげたりする術も巧妙すぎる。
寿司の折り詰め系千鳥足・オリヴィエ・グルメの酔っ払い演技もさすが。
ブリュノの妻を演じているのがカリン・ヴィアール。

この二ヶ月は本当によくカリン・ヴィアールをよく観る。
彼女は本当に自立した女性、働く女性の役がマッチする。
先週観て涙してしまったのが『勇気を出して!』。

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勇気を出して!
HAUT LES COEURS!

出産をひかえながらも乳癌に侵されてしまったエマ(K・ヴィアール)は、中絶を拒み、病と闘う決心をする。長い闘病生活を、リアルな日常感覚やユーモアを損ねることなく描ききった感動作。本作で主演のカリン・ヴィアールはセザール賞最優秀主演女優賞を受賞。

闘病・出産と立ち向かい強く生きようとする姿の中に、元来女性が持つ弱さ・儚さ・脆さが感じ取れる感傷的で繊細な演技。体を張った熱演に、未知の世界ながらも異常に感情移入してしまい涙が止まらなかった。
当初出産を拒んでいた夫が、彼女の発病をきっかけに献身的に子育てと看病をするように変化していくというのは月並みのパターンっぽいけど、より現実的な話に思えたのかもしれない。

涙で失った水分は、オーバカナル銀座店のヴァンブランで補給しました。

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ニソワーズサラダは3人前くらいありますが、一人でペロリとな。

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そんな食べて泣いて映画観て、な日々です。