しあわせの雨傘 Potiche

パリでのAvant Première以来、二度目の鑑賞。
フランスでは3月にDVD発売なんですね…
公開からDVD発売までのこのインターバルに、未だに慣れません。

“Potiche”という何とも響きが美しく端的な原題なんだけど
さすがに「お飾りの壺」って邦題にはできないよな。
秀逸すぎて、若干商業的な匂いがする邦題。



スザンヌ・プジョー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、朝のジョギングを日課とする幸せなブルジョワ妻。
雨傘工場を運営する夫・ロバートは「お前はオレについてくればいい」と典型的な亭主関白タイプ。
そんなロバートが心臓発作で倒れ、スザンヌはロバートの後任として工場を切り盛りすることに。
このことがきっかけで彼女の本能が目覚め始める――


とにかく歌って踊るドヌーヴ様がたくさん拝めるのが嬉しい本作ですが、台所でドヌーヴ様が“Emmène-moi danser ce soir”を歌うシーン、『ロバと王女』の卵を割りながらケーキを作るこの姿を思い浮かべていたのですが、

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なんと撮影直後、ドヌーヴ様が「『ロバと王女』の愛のケーキのシーンを思い出したわ」とオゾンに仰ったのだとか!
(オゾンはそんなつもりはなかったみたいだけど、ドヌーヴ様と同じシーンを感じたことに感動。。。)

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ドヌーヴ様演じるスザンヌと、熊ルデュー、いやもとい、ドパルデュー演じるババン。
二人の共演が見れることだけで、個人的には感涙どころか失禁しちゃうくらいの大騒ぎ。
『終電車』と比べると、お二人ともだいぶ恰幅がよろしいようで…特に熊ルデュー…巨大化しすぎ。
ディスコ“バダブン”で踊るシーン(これ初めて大スクリーンで観たときは泣いた)で流れる“Viens faire un tour sous la pluie”。これをドヌーヴ様の元義理の息子(キアラの元夫)・バンジャマン・ビオレーがオゾンに提案したのだというエピソードもまたいい。

サントラ、思わずポチッとしちゃいましたがなー。(現地で買い忘れた…不覚!)

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ドヌーヴ様ご自身がコメディを演じたいと思っていた矢先の、オゾンからの出演依頼。
本当に楽しく、はじけるように演じていらっしゃり、大スクリーンにバイタリティがあふれ出ています。
今回は彼女の表情ひとつひとつを、食い入るように鑑賞。

自分の年齢を考慮しつつもババンの愛情が素直に嬉しいと感じるときの顔。
「Bonjour, mes amis!」Poticheの彼女が社員への愛情を振りまいて再見していく姿。
今まで工場経営に携わっていないから選挙活動で「あなたの工場に家族みんなお世話になっています」と言われて戸惑う顔。
ババンにほっぽり出されて、湖畔で俯く姿が、個人的に一番かわいらしかったりする。
(その後の動物的体毛セルジ・ロペスの突然の出演から『Ricky』に脳内がシフトする仕掛けも憎いがね…)
それにしてもトラックに乗り込むときのおみ足はとてもお美しかった。

パリではリアルにジュテーム・オゾンなメッシューに囲まれて大爆笑での鑑賞だったので「笑わそうとする魂胆見え見え」なんて思ったりしたけど、日本の静かな劇場内では意外とそうは感じず。
青い「自由」の色のジャージを着てジョギングする辺りからの畳み掛けるように展開も、単なるコメディに終わらないのがオゾン君の魔法。まんまとかかってしまいました。

“C’est beau, c’est beau la vie”
 そうよ、人生は美しい

歌うスザンヌを囲むのは、スザンヌに自らの母の姿を重ね合わせる老若男女。
スザンヌの父の姿を思い、貧しくも良き時代を懐かしむ者、
未来への希望の光を感じ時代の変貌を信じる者…
l’émancipation de la femme(女性解放)だけを唱えているのでなく、生きるということへの讃歌。
人生は素晴らしい!!!(そして泣)

現代でも、悲しいことに男尊女卑の考えは完全に消滅はしていないけどね。
まだまだ30代、人生折り返してない。
自らの力を信じ、周囲への愛を忘れず、研鑽を積み、人生を開花させなくっちゃ。
…脚を開くことなく。。。ね。

シェルブールの雨傘
デジタルリマスター版

8人の女たち

クリミナル・ラヴァーズ

ドヌーヴ様に見とれながらも、レニエくんの、前髪を気にする仕草や、眉毛のぴくぴくとした細かい演技、ピッチピチの衣装に悶絶してしまった自分。カンディンスキー好きという設定にも萌え。

日仏で映画の授業をとってるんだけど、先生がファブリス・ルキーニ&カリン・ヴィアール好きなんだよなー。
『PARIS』だったり『Les invites de mon pere』だったり。。。
春学期は本作が題材になりそうな予感。