レビュー:アサイヤスの『Clean(クリーン)』

すごい映画を観てしまった!!

マギー・チャンとオリヴィエ・アサイヤスという天才二人の才能を、ここぞとまでに見せ付けられた!!

映画『Clean』(クリーン)

どんな苦境に立たされても、
どん底に落とされても、
人間は、変われるんだ。

HISTOIRE
ロックスターとして名を馳せてきたリーと、その妻で歌手として成功することを夢見るエミリー(マギー・チャン)。彼らの間にはジェイという幼い息子がいたが、今はバンクーバーに住むリーの両親に育てられていた。所属するレコード会社の件で激しい口論をしてしまったある日、エミリーはドラッグの過剰摂取によりモーテルで死んでいるリーの姿を発見する。一部の友人とリーの母親は、事故を防げなかったエミリーを責めた。
 6ヶ月後、エミリーはもう一度全てをやりなおそうと、かつて住んでいたことのあるパリへと向かった。「息子を取り戻すためにはなんでもする」。そう決意はしたものの、遠くへ逝ってしまった愛する人の残像、引き裂かれたプライド、捨てきれない歌手の夢…、様々な想いが交錯し、望んだ仕事を得ることも、息子と一緒に暮らすことも出来ずに、彼女はまた、ひとりになってしまった。また大切な人を失うかもしれない、昔の友人たちはもう助けてくれないかもしれない、夢は二度と叶わないかもしれない…。自分の人生を優先させてきた代償がエミリーを容赦なく襲う。
 そんな中、義父のアルブレヒト(ニック・ノルティ)が息子のジェイを連れてロンドンのホテルに滞在しているという知らせを受けたエミリーは、何とか思いを伝え、たった2日だけ、息子とのデートを楽しむ機会を得る。バイクにまたがり動物園へ向かうエミリーとジェイ。しかし数年ぶりに再会したふたりは、距離が縮まった途端、思いがけず衝突してしまうのだった。「僕はママを愛してないし、愛されてもいないんだ」。
 格好悪くてもいい。絶望から必死に這い上がり、もう一度「ふたり」のためにやりなおしたい…。これは、いつか息子と暮らせる日が来ると信じ続けた母と、幼いながらも母と向き合おうとした息子の、再生の物語。

公式ホームページより)

母性、生命力・・・女の強さをここまで体現できるなんて。

3ヶ国語を操るだけでも尊敬するのに
鳥肌もののマギー・チャンの演技力。

そしてこの映画を作った男・アサイヤスには、もう感服。

ていうかね、元夫婦でしょ。

離婚してからも“元妻”主演作品を作ろうと思うその男意気は
もう典型的日本人からしてみりゃー

”考えられへんっ” (c)キム兄

なんだけどね。

それと“元夫”の作品で
ここまで体張れるのか。
マギー・チャンは思考回路もアジアの領域を軽々超えているんだね。

他の出演者も、超豪華!!
ベティ・ブルー』のベアトリス・ダル。
屋敷女』の呪縛から解き放たれた気だるげな演技は、なんともステキ。
ベティ・ブルー』のイメージを刷新した!!
なんて言われているけど、もう十分に脱ぎ捨てている気がするけどな。

そんでアサイヤス作品『NOISE』では歌唱力でもって多才っぷりを披露したジャンヌ・バリバール!!
『Sagan』同様、同性愛者の役を演じています。
うん、その気はないけど、彼女のような大きな瞳と唇は、同性でも惚れてまうな。
でも最近『ランジェ公爵夫人』を繰り返し観たせいで、彼女を観るとギヨーム・ドパルドューを思い出してしまう自分がいるの。

あーーーーーーーーーーーギヨーム!
死んだなんて、ウソでしょ??

おっと、ギヨームに話題がそれてしまったのですが。

「生活に恵まれているときは、何でも好きなようにできる。
生活に苦しいときの決断こそ、難しいんだ」
すべて覚えているわけではないけど、
本作で一番キュンとくるシーンでの義父役・ニック・ノルティの台詞。
静かに、優しく、それでいて重厚な存在感をズシッと残している。

『ホテル・ルワンダ』のニック・ノルティだよ!
すげー豪華でしょ??

この物語は、音楽もいい。
まず最初の“轟音”は、とあるライブハウスから。
『NOISE』ですっかりハマってしまったカナダのバンドMETRIC(メトリック)のすさまじいパフォーマンス。
やっべ。メトリック10月に渋谷でライブするよ。
METRIC ライブ情報

そのほか、アサイヤスの抜群のセンスが見れるサントラも必聴もの。

「なんで、クスリをやるの?弱いから?」
子供は母・エミリーに問う。
エミリーが出した答えとは・・・

ネタバレも含むので、この辺で。
この作品も子役、やばいくらいかわいい。
養子候補。

いや、しかし、真っ先に
「この映画を観て欲しい人」で思い浮かんだのが
のりピーだった。
ああああああ、旬すぎる。
5年も前の作品なのに、
なんでこの時期に公開なんだ。

女は、強い。男は、頑張れ。

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