フランス映画祭2018『顔たち、ところどころ』『2重螺旋の恋人』『マルヴィン、あるいは素晴らしい教育』

サッカーW杯のハーフタイムに…
フランス映画祭2018 鑑賞記録のつづきです


アニエス・ヴァルダ『顔たち、ところどころ』Visages, Villages

これは公開を本当に楽しみにしていたので、一足早く観ることができてうれしい。
撮影当時88歳のヴァルダと、33歳のフォトグラファー・JRとのドキュメンタリータッチのロードムービー。
こちらも寺尾次郎さんの字幕でした。


Copyright Agnes Varda, JR Cine / Tamaris Social Animals

ドキュメンタリーと脚本の境目がわからないけど
終始笑って、ほろりと泣いて、と大変でした…!

上映後はプロデューサーのジュリー・ガイエさんが登壇。
オランド元大統領との間に不倫疑惑があった方なのですよね…(そこには一切触れませんでしたが)


女優さんでもある彼女ですが、今回は裏方にまわり作中には1シーンも登場しません。
ジュリーさんのお話しからも、撮影現場のほっこりとした雰囲気が伝わってきました。
ヴァルダはみんなのおばあちゃん。みんなに愛されて、みんなを愛して。
ヴァルダのような年の重ね方、素敵だなあ、と改めて思いました。



フランソワ・オゾン『2重螺旋の恋人』L’Amant double

『17歳』のマリーヌ・ヴァクト主演。恋人役にジェレミー・レニエ。眼力のクセがすごい二人です…!
当初、某フランス人有名俳優が話が進んでいたんだけども、あるシーンを脚本に追加したら「これは無理ぽ」ってなって、ジェレミー・レニエに依頼したらしいです。

二人が裸で椅子に座るポスター以外は、事前に一切情報を得ていなかったので(サスペンスだとも知らなかった!)、ただただびっくりしました。衝撃作。
現実と妄想の境目がわからないままモヤモヤ・ハラハラ・ドキドキが折り重なって、頭の中がカオス状態。
ストーリー展開もカメラワークも何もかもが秀逸だった。面白かった!
猫も多く映るので萌えていたのだけれども、オゾンは猫が苦手らしい(笑)

猫顔マリーヌ・ヴァクト、私生活では母になったと聞いて驚き。

オゾンにはDVDにサインしてもらいましたが
「美しい!これは日本製?」と、装丁の美しさにかなり感動されていました。



アンヌ・フォンテーヌ『マルヴィン、あるいは素晴らしい教育』 Marvin ou la belle éducation

二年連続で来日してくれました、アンヌ監督。
ステージ上でこんなにも微笑まない鉄仮面は彼女くらいでしょう…!

去年のフランス映画祭は『夜明けの祈り』とともに来日。
私は公開されてから観に行きましたが、アンヌ・フォンテーヌ監督の作品の中で、個人的ベストでした。
「夜明けの祈り」 Les Innocentes

でも今回もマイベスト更新?それくらい素晴らしかった。

『夜明けの祈り』同様にヴァンサン・マケーニュ登場。
彼の言葉を聞いて、マルヴィンが涙を流すシーンがあるのだけれども、
自分の記憶にも重なるものがあって、マルヴィンと同じように泣いた。
LGBTへの差別問題だけでなく、もっと広く普遍的な問題を提起しているからより自分事化してしまって。
「北の国から」の“泥のついた一万円札”のくだりを彷彿させるシーンまであり、何回泣いたことか。

イザベル・ユペールが、イザベル・ユペール役で出演。
(本人を演じているわけではないので、あくまでイザベル「役」。)
彼女に出会ってから、幼少期に負った傷を修復していく過程もまた感動。
時系列ごとに追うストーリー展開でないのもよかったなあ。


Copyright Salzgeber & Co. Medien GmbH

フィネガン・オールドフィールドくんは落ち着きがなかったけど、いい青年だった。

こんなに素晴らしいのにまだ日本公開が決まっていないらしいです。
配給会社さん、是非!


今回見られなかった作品が軒並み高評価なので(特に「Au revoir là-haut」)
早く見たいなあ!!!来年まで待てないよー