エリック・ロメール追悼 ロメールと哲学『室内遊戯』

日仏で行われたエリック・ロメールのTéléfilm『室内遊戯』(Les Jeux de société)上映会に行ってきました

フランスでも放映されたのは一、二回程。
版権が不明だという貴重な貴重なフィルム

さらにさらに
ロメールのミューズ、エロイーズ・ベネット(Eloïse Bennett)が来日etティーチイン
ってことで、もう何ヶ月も前からiPhoneにアラーム付でスケジュール登録していたんだよおおお。

なんと現在はベトナムで教師をされているというエロイーズ様。
上映前にいきなり登場

びっくりした。いや、びっくりした。
あえて二回言うよ。

だってこのまんまなんだもの。

キレーーーーイ

映画で観た彼女が、そのまんま目の前にいるううううう
変わらず美しいエロイーズに、もうぶっ倒れそうになった。

今回の上映は字幕無しってことで、
『室内遊戯』の解説を始めてくださったの。
(通訳は人見さん★)

解説が書かれたコピーが配られたものの、見ていても
脳内「」だらけ。


フランスのテレビ局「Arte」のドキュメンタリーチャンネル「la sept」と「FR3」が
ジョルジュ・デュビィ(歴史家)の作品に着想を得て、
歴史を新たに読み解くためのシリーズとして企画された「私生活の歴史」(Histoire de la vie privée)の
第一回目で、ロメールがその監督に依頼された。
目隠し鬼、言葉遊び、鬼ごっこ・・・
辛口のユーモア、エリック・ロメールは小さなシーンのモンタージュで
何世紀にも渡って伝えられている遊びを描くことにした。
ロメールは軽薄でもあり、また深刻でもあるこの遊びの雰囲気を再構築し、
この遊びを生み出したといわれている言い伝えを文学や歴史から引き出している。



フランス人でも難解な言葉が出てくるということで、
かなり親切丁寧なご説明。

・・・うーん、確かに。
この解説がなければ、10%も理解不能だった。

être sur la sellete
(尋問台につく)
なんて、ボキャも増やすことができたし
「Colin-maillard」とか「J’aime mon amant par A」とか・・・
今回の上映がなければ、もしかしたら一生知らなかったかもしれないような
フランスの遊戯を知ることが出来たーーー

時代背景も、文化も全く違う「遊び」。
正直、全然笑えないし
何がそんなにおもろいのか全然わかんない。
てか、それ、おもろいの?
例えフランス語を翻訳こんにゃく無しで理解できたとしても、
この解説がなければまったく楽しめなかった。

上映後に、再びエロイーズ登場
ロメール作品や、ロメールとの出会いなどについて語ってくれました。

ロメールとの出会いは彼女が13歳の頃。
その頃彼女はロメールが偉大な人物だと全く知らなかったそうな。

サン・ジェルマン・デ・プレに住んでいて、
母親も夜遅くまで働くような家庭に育った彼女(なんて羨ましい環境・・・)は
一般的な女の子よりはだいぶマセていたらしいけど
海辺のポーリーヌ』の役(15歳)には受からなかったそう。

レネットとミラベルの4つの冒険』のオーディションも受けたけど
ミラベル(パリジェンヌのほう)役のジェシカ・フォルドと仲が良過ぎたのと
パリ育ちのエロイーズにはジェシカとの対比が出来ない、
というので落とされたそうな。

で、彼女初のロメール作品がこの『室内遊戯』。
次の作品が、『春のソナタ』。

実際、彼女は大学で哲学を学んでいたので
作中、ディネのシーンでカントを語るのに相応しい、適していると思ったらしい。
解説のときに、そのシーンも流れたけど
いやー、改めて観ても難しいけど、納得。
あの自然な台詞回しは、哲学学んでいなくては無理だべ。
我が至上の愛』でも、
「本当は忠実にロワール地方で撮りたかったのだが、近代化が進んでおり撮影は無理だった。
なので我々は自然が残る別の地方を探した」
と注意書きを表示するほど、現実に忠実にシナリオを作るロメール。
あの台詞も、哲学を学ぶ彼女が発することによって、
より現実的なシーンになっているんだろう、とのこと。
(お陰で『我が至上の愛』ではロワール地方に告訴されてしまったんだけどね・・・)

ちなみに『春のソナタ』のディネのシーンは、
パンを取ったりgigotをカットしたり、という至って日常的な風景の中に
カントの哲学的論争を盛り込むことによって、
ロメール的なhironique要素を含む。。。ということらしい。

・・・・そんなこと、言われなきゃ全然わからない。
深い、深いぜ

と、そこでまた豆知識。
90年代、フランスでは哲学がブームだった、ということ。

90年代と言えば、
どこかの国ではバブルが崩壊して、ディスコで扇子振り回して踊り狂ってた頃ですよね

てててて、哲学がブームて。
お国柄が違えども、
いくら龍馬ブームでも、
一生追いつけない隔たりを感じた瞬間でございます。

キャスティングをして、シナリオを完成させた時点で
映画製作は90%完成だ、という考えのロメールの演技指導・・・

ロメールファンは一部のインテリ層にしかいないということ、
ロメール作品はいつも議論の的だと言うこと、
「trop parlé」(台詞多すぎ)なために非難されることも多いこと・・・
そんなフランスでのロメール評も聞くことができて
かなり濃厚な時間でした。

座布団席で聴講されている方もいらっしゃるほどの大盛況。
3時間という長時間でしたが、
本当に本当に大満足でしたーーー

Merci, Eloïse


そういえば久しぶりに日仏カフェでサンドイッチを買ったら・・・


パンがバゲットじゃなかった

ま、フツーに美味かったんですけどねー。

来月は、エロイーズとバレエ教室が一緒だったと言うジャンヌ・バリバール来日
テンションあげてこ。