フランス語で『あの頃エッフェル塔の下で』(Trois souvenirs de ma jeunesse)を学ぶ。その1

昨日は今年初のアンスティチュ授業!

今年の目標のひとつに「真剣にフランス語勉強する」があるので
去年までの私、日仏はほぼ毎週遅刻(まあ花金は大体飲むから仕方ない)で
予習も復習もせずに行くから吸収する量も少なかったけど、
まるで生まれ変わったように、予習もバッチリして、さらに10分前に着席する、という
ミラクルとしか言いようのないノリコさんで挑んだのであります。

ここまで気合いが入れられたのは、今回の授業の題材が、大好きな作品『あの頃エッフェル塔の下で』だからなのです。

この作品を、じっくり3ヶ月かけて学んでいくのです。
なんて幸せなんでしょう。
あまりにも前のめりで授業に臨んだ姿を見て、
「やっぱりノリコはこの映画好きだと思ったよー」と先生。
メルシー!!

さてさて、追記は個人的復習用メモ。
映画は現在絶賛公開中ではありますので、ネタバレがダメな方はスルーしてくださいませ。


最初はマチューと幼少期だけなので
「え、なにこの映画、このチラシと違うのかしら?」
と隣席のマダムが聞いてきましたが、
いいえ、チラシの絵になっているロマンチックストーリーは、これからです。

物語は、「Trois souvenirs de ma jeunesse」という原題の通り
1. Enfance [幼少期]
2. Russie [ロシア]
3. Esther [エステル]
の3つのパートで構成されています。
(ちなみに副題の「Nos Arcadies」の”Arcadie”という単語は
多分ほとんどの辞書には載っていないと思います。
ギリシャ神話で”lieu parfait”(完璧な場所)という意味を持つArcadieは
”utopie”(ユートピア)と訳せばしっくりくるでしょうか)

が、幼少期の前に、ロシアのアパルトマンの一室でのシーンがあります。
ロシア人女性のイリナ。
カネフスキー『動くな、死ね、甦れ!』(フランス語タイトル:Bouge pas, meurs, ressuscite)
の子役だった、あの子です。(だいぶ老けて見えたけど、まだ40歳なのよね…)

ロシア語で電話しています。
電話の内容はフランス語で

Mon ami travaille à l’ambassade de France, il rentre à Paris.
Paul Dédalus.
〜中略〜
Il n’y aura pas de souci à la douane, c’est une valise diolomatique.

ポールがフランスに帰国する際の税関手続きについて、どこかとやり取りしているようです。
電話を切ると、ベッドに誘うように横たわるイリナ。
イリナの横に寝転ぶポール。
ポールが帰国するのが相当寂しいイリナ、しかし出てきた台詞が

イリナ:Le bel Ulysse rentre à Ithaque.
美しいユリシーズはイタキ島に帰るのね

なんじゃそれ!
インテリは寂しがり方も違うなあ…

イリナ:Je veux que tu me jettes un sort, pour que je t’oublie tout de suite.
すぐあなたを忘れられるように魔法をかけて!
(jetter un sortで「呪いをかける」だけど、なんとなく「魔法」としてみた)

フランスの恋人たちの間では、今日日、そんな台詞が日常的に存在するのだろうか。。。

と、そんな感じで最初の「souvenir」、「Enfance」が始まります。

とっても「violent」なシーンから始まります。

Dégage, dégage, sale folle.
Qu’est-ce que tu viens encore foutre ici?

小さい頃のポール(マチューにそっくり!)が、
母親に向けて包丁を持って叫んでいます。

dégage=va-t’en 消え失せろ!
この後すぐ「Fous le camp」という台詞がありますが、同じ意味。

一般的な親子関係ではないな、ということが一瞬にして読み取れるシーン。
母親に包丁を向ける息子が異常、というだけでなく、母親も変わり者のよう。

次のシーンでは、ポールは叔母のローズを訪ねています。

ローズ:Tu voulais me faire une petite visite? Rentre.

「petite visite」の割りには、ポールの荷物は大きめ。
完全に家出です。

ちなみに、「faire une visite」と「rendre visite」は同じ意味ですが
間に「une」が入るか入らないかの違いがあるので注意。

ローズのお友達らしきマダム・シドロフ(Sidorov、ロシア系の名字)が、ローズの家にやってきました。

シドロフ:Je t’ai préparé du thé.
お茶の準備ができたわ

えーっと、ローズの家なのに、お茶用意したのはシドロフさん?
でも家政婦だったらtutoyer使わないですよね?
で、次のシーンは……

「デプレシャンは常にサプライズを入れたがる」と、先生。ふむふむ。

次のシーンでは、ポールと、弟のイヴァン(これもロシア系の名前なんだとか)との関係を描きます。
学校で先生に呼び出され、怒られたイヴァンはポールに

On s’en fout, hein? と聞きますが、これは
Ça m’est égal(気にしなくていいよねー)と同様の意味。

続いてまたシドロフさんのシーン。
シドロフさんがson histoireを語ります。

語彙メモ
・dépoetation = 国外追放(= exil)
・exécuté = 処刑された

続いて、ある人のお葬式のシーン。
ミステリアスなポールの絵の後、爆竹を豪快に放つシーンが。
これはla famille détrouille⇒家庭崩壊、を含んでいるそうで。

と、ここまででようやくこの日の授業は終了。
復習もしたし、今週末の達成感がすごい。
大切なのは、続けることなんですけどねー…