セリーヌ・シアマ監督最新作『燃ゆる女の肖像』を観てきました。
前評判通りに素晴らしい作品でした。
今年はそんなに多く新作を観た年ではないけれども、間違いなく今年のマイベスト。
本当は先月、東京国際映画祭での上映(六本木ヒルズの一番大きなスクリーン)で観たかったのですが、うっかりしていたらチケットが完売してしまっていて。公開が決まっているからって、高を括っていました。。
会話に tutoyer (親しい間柄で使われる言葉)でなく、vouvoyer (丁寧な言葉)を使っていることがまた関係の美しさに拍車をかけているようでした。
それは、あまりにも自然で、当然の成り行きかのごとく…
今までに見たことのない美しく、尊いオーラを放っていました。
唾液の糸引く接吻の生々しさも相まって、それ以降の行為は見せずとも、後の二人の満足げな表情からもいかに豊潤な時間だったかが伝わってきて、スクリーンのこちら側の人間が高揚してしまうほど。
タイトルそのままにポスターにもドレスが「燃ゆる」絵ですが、まさにこの作品は「火」が要所要所でキーになっています。
暖炉の火を焚べる音だけがBGMのシーンが多々あり、それがほんとうに絶妙に心地よかった。
(あまり関係ないけど、映画を観た2日後にオザケンがこんなツイートしてた)
焚き火の音の感覚って、すこし特別感あるのよね…!
衝撃だったのがラストシーン。
長回しのカットに見入ってしまい、エンドロールが始まるまで、息をするのを忘れてしまった。
『大人は判ってくれない』、最近のだと『呼吸―友情と破壊』以来のこの衝撃。
この2作品と違って目は合わないのだけども、飲み込まれた。
TOHOの良環境で上映してくれるのは嬉しいことなんだけども、ポップコーンをかじる音がそれはもうとてもとても邪魔だったので、今度は飲食禁止の映画館で再度観ようと思います。(でも感染者数の増加が、、、涙)