『ジュリアン』 Jusqu’à la garde

『ジュリアン』(原題:Jusqu’à la garde)を観てきました。
去年のフランス映画祭上映作品(映画祭のときのタイトルは英題で『CUSTODY/カストディ』(日本語で「親権」)でした)。

フランス本国で40万人動員したというのだけれど、これはかなりつらい…。

(以下、ちょっとネタバレ含みます)

そもそもこの元凶は判事がくだした判断かと思うのですが、
離婚後の親権制度はフランスと日本では異なっていて、日本は「単独親権」、フランスは 「共同親権」になるんですね。
だから離婚が成立しても、子供に会う権利は両親にあるということ。。

先進国だし女性の社会進出も顕著だし家庭内暴力言うてもたかが知れてる程度でしょう、と思うことなかれ。フランスじゅうに男性優位主義、マッチョな男が蔓延っているのです。
実際3日に1人は家庭内暴力で女性が殺されているという事実。
ググったら10年以上前の記事もヒットしたけど、最近のデータでもこの数は全然減っていないという…
なのでこの共同親権もフランスでは社会問題にもなっているようです。


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監督が参考にしたという『シャイニング』、もうまさしくラストは息ができないくらいにシャイニングしてた。
ドゥニ・メノーシェの迫真の演技がもうシャイニング以上なのです。
インタビュー映像を見つけましたが、もう彼の顔が怖くて見れないー

ラストは目も耳も塞ぎたくなるくらい(なんなら劇場を出たいくらい)に「早く終われ!!!」と本当に本当に怖かった。
エンドロールになったときは安堵というよりも薄気味悪さが微妙に残る。
C’est fini …本当に終わったのか…不安がつきまとうのだ。
これがホラー映画という心積もりで観始めていたら覚悟はできていたかもしれませんが、とにかくつらかった。

ひとつ難癖つけるなら、お姉ちゃんのエピソードが最後まで曖昧だったところかな。
検査のその後は?
片づけ終えて体育館出る時の「これから何か起きますぜ」的な思わせっぷりも、なんだったの?!
彼氏の髪型もなんで誰も突っ込まないのさ!
父親とまったく違ったタイプの男を選んだんだろうな、ていうのは伝わってきたけども。

もう二度と観ない。
けど、フランスにおける家庭内暴力が社会問題になっているという現実は、多くの人に知って欲しい…