アンスティチュ・フランセでチーズセミナー「第10回美食の祭典:クリスマスマーケット、オクシタニー地方スペシャル」

アンスティチュ・フランセのイベント「第10回美食の祭典:クリスマスマーケット、オクシタニー地方スペシャル」で、チーズセミナーに参加してきました!
講師は石川さよさん。

まずはチーズを作る6のステップを。

1. Le caillage ミルクにレンネット(酵素剤)を入れて火にかけます
2. Le découpage 杏仁豆腐のように固まるので角切りにする
3. Le brassage et chauffage 火にかけ熱する
4. Le moulage et pressage 型にいれる
5. Le salage 塩を振る
6. L’affinage 熟成する

フランスにはチーズを熟成する専門家、「熟成士」という職業があります。

同じチーズでも、誰が熟成したかによって全く異なったものになってしまうのです。
一流の熟成士によるチーズは味も一流、お値段もそのぶん一流に。

石川さんは、フランスに初めて行った際に食べたチーズに衝撃を受け、当時勤めていた会社を辞めて、渡仏。
M.O.F.(Meilleur Ouvrier de Franceフランス国家最優秀職人章)熟成士のひとり、エルベ・モンス氏に「あなたのもとで働かせてください!」と直談判。
「覚悟があるなら来なさい」とモンス氏。映画のようなストーリー。

一度日本に帰国後再び渡仏した石川さんは、スイスのチーズ熟成士 ピエール=アラン・ステルキさんのもとで働かれたそうです。

熟成士たちは毎日毎日チーズの様子を見ながら、ときに話しかけながらケアをしてあげるのです。熟成士に休みはないのです…!

ちょっと状態が悪いチーズは「病院」と言われる棚に連れていかれ、「なんでこうなったのか」とミルク生産者たちと話し合うそうです。

熟成士だけでなく、チーズ専門店で売る人たち「フロマジェ」も、もちろんプロ中のプロ。
フランスだけでもチーズは1,000種類以上はあるし、同じチーズでも熟成の段階によって味は違うし…なので、お客さんひとりひとりの好みにあわせてチーズを選ぶのは至難の業なのです。

さて、この日のイベントは、オクシタニー地方スペシャル。
オクシタニー地方のチーズについて教えていただきます。

牛、羊、山羊、とチーズの種類はありますが、オクシタニー地方では牛のチーズは作られないそうです。
それはオクシタニー地方の環境から。

羊と山羊は体が小さい分、牛と比較するとミルクの量が少ないのでその分高価になってしまいます。
そして牛はエサの量が多いため草、緑が豊富にある場所でないと飼育ができません。

オーベルニュやフランシュ・コンテ(牛の生産地)ではこうなのですが

オクシタニー地方は、こう。
岩場が多く、牛を飼うことができません。
なのでチーズも羊や山羊になるんですね。

ではお待ちかねのチーズ試食♡

まずは「カタール」(Cathare)。
ミディ・ピレネー産のシェーヴル(山羊)。

食用の灰がついているのですが、切る前はこれ。紋章が描かれています。


シェーヴルなのに全然クセがなくてクリーミーですごく美味しい…
これ今まで食べたシェーヴルの中でNo.1だ…!!

続いて標高3,000メートルから遥々来たチーズ、「ピレネー・ブルビ」(↑お皿の真ん中のチーズ)。
こちらも羊なのにびっくりするほど全然クセがない…美味しい…

最後は、「フランスのチーズの王様」とも言われているロックフォール。
羊のミルク100%、パピヨン社製のものです。
でもこの日ご用意いただいたのは、スーパーでも売られている通常の黒パッケージ「パピヨン・ノワール」でなく、チーズ専門店でのみで取り扱っている「パピヨン・レヴェラシオン」。
青カビの量が微妙に違うのだとか。非常に濃厚で美味しいです。

ロックフォール村の洞窟で作られたものでないと「ロックフォール」と名乗っちゃいけないらしいです。
岩山を掘って熟成庫を作り、湿度を帯びた冷たい風(フルリーヌ、「カビの花を咲かせる」という意味から)をあてながら作ります。
エアコンなど機械の力を頼ることなく、完全に自然のものから作られているんですね!
一年中、同じ湿度(90%)で同じ温度(8~9度)を保たなければいけないのです。
なるほど奥深い…!

「チーズに合わせるものは、その日その時、その人の気分や雰囲気で、好きなものを合わせてください。色々考えないで、白ワインでもシャンパンでも、好きなものと合わせるのが一番なんです」

チーズって前菜とメインの後、お腹いっぱいの状態(&お酒も入っていい感じの状態)でいただくから、こんなにきちんと味わったことなかったのと、何気にチーズのセミナーに出席すること自体が初めてだったので、もっともっと深く知りたくなりました。