哲学。
フランスではどのバカロレアでも哲学は必須科目で、最重要視されています。
フランスの哲学の授業を映像で初めて見たときの衝撃ったら。
「この人たちと口げんかしたら、必ず負けてまう」
勝てない。
うまいように言いくるめられてしまう。
「あわわわわ」
昭和漫画的な返ししか出てこないだろう。
IQレベルの差を見せつけられたように思い、それはもう愕然としました。
さて、今回の東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門『ミューズ・アカデミー』(L’Accademia delle Muse)も、イタリアの哲学の授業から始まりました。
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©Los Films de Orfeo
生の授業をライブで見ているかのようなドキュメンタリータッチ。
ダンテの「神曲」における女神の役割とは―
…あかん、寝てしまうかも…
という懸念はあっという間に吹っ飛んでいきました。
ドキュメンタリーとフィクションの境界がわからないままフィルムは進んでいくのですが、会話劇がとても面白くて。
難しい言葉を使って、遠回しな表現で、いかにも高尚な台詞なのですが、所詮「言いわけ」。
例えば
「今日すっげーダルいし仕事休もう」
ってことを
「天からの声が聞こえ、今日は自分探しの旅に出ることにした」
って遠回しな表現を繰り返す。
(例えが下手すぎるし、だいたい通用しなくてイタイ奴だと思われて何かを失う)
つまりは、この教授、言いわけがとても上手。
とてもじゃないがあのビジュアルで抱かれたいと思わないでしょう。
「口が上手い」というよりは、騙していたり嘘をついているわけではないので、あくまで「言いわけ」。
奥さんもまた頭がいい人で、彼女の天才的な返しに思わず「ブラボー!」と叫びたくなる。
全部観終わった後で、「あの台詞もそうだった…?」と思わせる伏線が。
だからもう一度見たかったけど、次回映画祭上映回はチケット完売…うう、是非是非劇場公開、お願いします。
そうそう、こちらは私の大好きな『シルビアのいる街で』のホセ・ルイス・ゲリン監督作品。
ビクトル・エリセも絶賛している彼の、新たな一面を見れた気がします。