やさしい人 Tonnerre

ギヨーム・ブラック監督、ぼくらのヴァンサン・マケーニュ主演の映画『やさしい人』を観てきました。
ブラック監督の長編デビュー作!

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原題「Tonnerre」はフランス・ブルターニュ地方の街の名前。
フランス語で「雷鳴」という意味も。
「Tonnerre!」って言うと「Merde!」とかと同じような汚い発言になって
「du tonnerre」は「素晴らしい」って意味になる…
(プチロワ辞書では「C’est une fille du tonnerre」って例文があった)

穏やかな風景、しんしんと降る雪。
志半ばでパリをあとにした、ハゲ散らかした男の前に
突然雷鳴のごとく現れた若い女の子。
彼女の無邪気な笑顔に元気をもらい、
瑞々しい肌に溺れて行き、我儘さえも愛おしく感じる男。
そして突然彼女を失った男の行動は――

と、まさしく「Tonnerre」というのは秀逸なタイトルなのです。

だからと言って邦題の『やさしい人』がハマっていないわけでなく
こちらもしっくりと来る。
決して多くない台詞の中で、父親との確執も垣間見れるのですが
ミュージシャンを目指して家を出た頃、母親の死…と
ギクシャクした関係なわけで。
そこでハゲ散らかしていい年した息子が帰省してくるのですが
決して突っぱねることなく、一緒にデジュネしようとしたり
来客には息子のCDを紹介している父親。その眼差し。
登場人物のうち誰か一人が「やさしい人」って限定しているわけではないけど
私はこの父親にグッと来てた。

作中でていた「フォス・ディオンヌ」。昔の洗濯場。
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「ロマンチックだが、代償は大きい」…
これすごく響くフレーズですねー。
ミュージシャンと言う型にハマらない職業を選び
自由に生きてきた男への、儚くロマンチックなプレゼントと、その代償。

いやー!ぼくらのヴァンサンが!ヴァンサンがああああ!
と思わず頭を抱えてしまいたくなるほどのヴァンサンの演技も見れて
これはまたすごい作品を持ってきましたよブラック監督。

男を狂わせる魔性の娘、ソレーヌ・リゴは
今年のフランス映画祭で上映された『素顔のルル』(Lulu, femme nue)で、
カリン・ヴィアールの娘役で出てましたねー。
不良少女ってイメージが強いけどぷにぷにしててすごくかわいい。
と、ヴァンサンと同い年の私はすっかりおっさん目線で見てしまいました…

『やさしい人』
http://tonnerre-movie.com/