アキ・カウリスマキ監督最新作『ル・アーヴルの靴みがき』、日本公開初日の28日に鑑賞しました。
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パンフレットがここ数年間の中で一番のヒット!(デザインも内容も)
少年イドリッサのセーターの柄と同じ表紙。
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写真ページは光沢のある上質な紙、そしてこの中表紙もまた素敵!
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以下感想、ネタばれ含みます…
オチを知ったうえで言うと
この映画、いい人しか出てこない。
(イヤな人といえば靴屋の店主か…)
そして、かなりレトロな感じはするけど、通貨がユーロだということですぐに時代背景は現代だとわかる。
今もなお蔓延る移民問題。
この移民問題というかなり重いテーマでありながら、会場中くすくすという笑い声に包まれるようなユーモアを交え、至って軽妙なトーンで物語は進む。
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最愛の妻と愛犬と、煙草とお酒。
貧しくても、幸せ。
常連のパン屋(といってもバゲットしか売っていない)でバゲット盗んだり
バーカウンターで、お酒とともに出されるおつまみがグルーンオリーブ3個とか
食器棚引き出しの、古びた缶の中に貯金するとか・・・
ベタだけど慎ましいボンビー生活。
でもギスギスしてあくせく働くサラリーマンよりも、心にゆとりがあるように思えるような、主人公マルセル(アンドレ・ウィルム)。
道行く人はスニーカーだらけ、神父様くらいしか革靴を履いてない。
そんなこんなで一日15ユーロほど(だったかな)の稼ぎしかないのに
不法移民の少年・イドリッサにサンドイッチ(と、お水)を買ってあげたのが運のつき(?)。
マルセルのなすことすべて「何もそこまでしなくても…」と、
信じられないくらいに善行で、素直で、愛おしく。
(コンサートのもぎりしてる姿とか最高にかわいい)
「若いころはパリで詩を書いてたんだぜぇ。ワイルドだろぅ?」(実際にはこんな風じゃないけど)と
多少羽目を外した経験があるのも人間らしくて微笑ましい。
そんな貧困生活、文句ひとつ言わず献身的に支える妻役は、カウリスマキ常連のカティ・オウティネン。
“誰にとってもできすぎた”女性。
病状を医師から知らされて、夫には黙っているように懇願する。「あの人は大きい子供なの」。
(ここで涙)
「奇跡は起きますよ」と医師から宥められても「“近所では”奇跡は起こっていないわ」と
至って現実的で、広い世界を知らずに生きてきたことが伺える一言。
(再度涙)
パン屋も八百屋も靴みがき仲間も、
少年を匿うことはリスクを背負うけれど人道にそってはいない
と言わんとばかりにあれこれベタな手でマルセルを救う。
病院におつかいに行かせたり、カーテン開けっぱなしで生活したりとハラハラすることはあっても
ほんわか心温まる、その優しさ。
いい人なのかなんなのか掴めなかったけど
ジャン=ピエール・レオーがまさかの役どころで出演していたのもポイント。
そしてもちろん、もともとモネ警視はいい人だってわかっていたよ。
だって冒頭、イドリッサがコンテナから逃げ出したとき。
「子供だ、撃つな」って止めた後、本当に捕まえたいのなら追いかければ済む話。
地元のお酒・カルヴァドスをこよなく愛すところ。
八百屋に事情聴取してる最中、「何か買っていかれませんか?」の押しに「ではパイナップルをひとつ」と買っちゃうところ。(そんな持ちづらいものを…)
そのパイナップルを囲んで、バーのママとの旧い関係が垣間見れる会話。
彼はこの街を愛する一人だもの。と、ずっと信じた甲斐がありました。
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このご時世に、(フィクションとは言え)こんなに善良な人たちが…
と、途中から涙が止まらなくなった。
ラストのオチの前に
「はぅあぅ…」と思わず声が出そうになったけど、
非現実的なおとぎ話に、熱い涙がとめどなく流れた。
映画館を出てからも、暫くは涙が止まらず
渋谷の如何わしい宿泊街を、泣きながら歩く女。
かなり怪しかったに違いない。。。
カウリスマキ!好き!
映画:ル・アーヴルの靴みがき Le Havre 濃密な画面は相変わらず、だが世間の絶賛とは逆に違和感が…
「マッチ工場の少女」「浮き雲」「過去のない男」「街のあかり」で定評のあるアキ・カウリスマキ監督。
その彼が、フランスの港町 ル・アーヴル Le Havre に生きる庶民を描いた人情ドラマ。
いつも通り、登場人物、場面、などの密度が濃く、一つのシーンだけで取って…