日仏学院にて第15回カイエ・デュ・シネマ週間開催中。
初見の作品の中で、もっともドカーン!とやられてしまった『宣戦布告』。
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ロメオとジュリエットのカップル。そしてふたりの子供、アダム。闘い、病。そして偉大な愛の物語。クリストフ・オノレの作品などで女優としても活躍しているヴァレリー・ドンゼッリの監督二作目。2011年カンヌ映画祭批評家週間で上映され、絶賛された。
Un couple, Roméo et Juliette. Un enfant, Adam. Un combat, la maladie. Et surtout, une grande histoire d’amour, la leur…
※カイエ週間での上映は日本語字幕ナシ、英語字幕のみ
2007年のフランス映画祭で上映された『待つ女』主演のヴァレリー・ドンゼッリ。『マルタ…、マルタ』のマルタ役のあの子!(「子」という年でもないか)
監督としての長編第一作目『彼女は愛を我慢できない』(La Reine des pommes)は、日本で公開されていないものの、DVDが出ています。これも映画界への宣戦布告というべき素晴らしい作品。
その他にもアンヌ・フォンテーヌ監督の『Entre ses mains』(イザベル・カレとブノワ・ポールヴールド、『匿名レンアイ相談所』の二人が主演)、アニエス・ヴァルダの短編『Le Lion volatile』、すっごく前のフランス映画祭上映『誰がバンビを殺したの?』(Qui a tué Bambi ?)、アラン・ギロディ『Voici venu le temps』(邦題は「その時がやってきた」だったかしら。いつしかのカイエ週間で見た)などなど様々な作品に出演しているけど、まだ日本では知名度の高くないドンゼッリ。これ絶対日本公開してほしいよー。
『宣戦布告』は日仏で24、25日にあと2回上映があるから、観に行っちゃおう。あ、あとドンゼッリは同じカイエ週間の『ベルヴィル/東京』にも出演。
私生活の元パートナーであるジェレミー・エルカイムとの実話に基づいたストーリー。二人の実の子供も出演。
ブリジット・シー(ルイ・ガレルとエステール・ガレルのママン!!)もレズビアーン(だけどロミオの母親役)で出てます。
音楽も衣装も鳥肌立つくらいおっしゃれだったー。(個人的に、今働いてる会社で取り扱う商品が出てきて興奮した!)
上映前に元カイエ・デュ・シネマ編集長のシャルル・テッソン氏による解説があり「愛についてのアクション映画です」と紹介されていました。愛し合う二人の、世界一大切な宝物。その子供が患った重病と真っ向から戦っていく――
正直、何度も泣きました。でも、単なるお涙頂戴的な作りでないのは「もしアダムが○○になったらどうしよう!」等々、夫婦のやりとりが現代的というか、至って自然だからだろうと思う。
「試練は乗り越えられるから」と前向いて生きる姿は凛々しく美しい。メッセージの中に同情を押し付けるのではなく、自然と共感させるの。ただの頭の軽いカップルに見えないのも、ヴァレリーの計算なのか。
夫婦二人の子供のために、それぞれの家族や仲間が一堂に会すのもまた泣ける。ひとつの命のために、いくつもの愛があり、育まれていく。その過程が実に巧妙で素晴らしい。
この映画が“現代のヌーヴェル・ヴァーグ”と言われる所以に低予算・短期間で製作したこともあると思うけれど、
もうそれ以前にヴァレリーの大胆不敵さとその才能に、ただただ脱帽するしかなかったのでした。
フランスでは8月31日に公開されています。日本でも公開してくれないかなあ…