カトリーヌ・ドヌーヴ様が「徹子の部屋」に!後編

つづきです。


徹子
『シェルブールの雨傘』で一躍有名におなりになったんですけど、歌をお歌いになったりするのが大体お好きだそうですね。

ドヌーヴ様
上手くはないですが歌うのが好きです。

徹子
小さいとき夕方…晩御飯の後お母様がピアノをお弾きになってみんなでお父様も一緒にみんなで歌を歌ったりなさったっていうのは…合唱したりと…本当ですか?

ドヌーヴ様
いいえ、家にはピアノを置くだけのスペースがありませんでした。
でもよく一緒に歌っていましたね。特に車の中です。
旅行に行くときに車でみんなで歌っていました。

徹子
そうですか。でもお一人でタクシーにお乗りになったときに、なんか運転手さんが、お金いりませんよ、って言われたことがあるって…

ドヌーヴ様
(笑)私が上手いわけじゃなくて、ただ私が歌ったからお金は要らないと仰ったんです。「そういう歌を歌うのはイタリア人だけだよ」と言いながらタダにしてくれたんです。

徹子
そうですか、じゃあその運転手さん、懐かしいことがあったんでしょうね、きっとね。

ドヌーヴ様
そうだと思います。
私の教育の一部でもあります。子供のときからそういう風に育ってきました。
家族でよく歌を口ずさんでました。
私の子供たちはそれほど歌いません。

徹子
ふっふっふそうですか。
でも今こうして拝見していると外見の美しさもそうなんですけど、どうやったらそういう風にいろんなことに関心を持っていられるんだろうってつくづく思いますけど。

ドヌーヴ様
貴重なことでしょうね、私の性格の一部でしょう。
私はいつも好奇心を持ち続けると思います。
今から変わることではないのです。
私は今までそれほど変わっていませんし、今後も同じだと思います。

徹子
そうですか、ま、よくわかりませんが、私も好奇心強い方ですけど、大女優でいらっしゃると、まあ、ええ、なんというか、だんだんそういうものが減ってくるような気がするんですけど。
全然減らない。

ドヌーヴ様
様々なものを発見すればするほど、もっと新しいものを知りたいという気持ちが増えてきます。

徹子
『8人の女たち』を拝見しましたけど、あれロベール・トマって人が書いたんですけど、
私は舞台で、あ、わたくし一応舞台女優なんですけど、(主張する徹子)舞台で演じたことがあるんです。
でもあれ8人全部が銀熊賞をおとりになったんですね。(全部…)

ドヌーヴ様
そうです。ベルリンの銀熊賞をとりました。

徹子
あー、おめでとうございました。
でもみんながさっき映画に出続けてるって言ってますけど、そうやって映画…ずっと、なんていうんですか、お仕事があるということはどういうことだと思います?

ドヌーヴ様
自分が好きだから仕事をしています。
なので自分の中のバイタリティが保たれます。
色々な人と出会い、様々な発見があります。その出会いが重要になってきます。
本当に気持ちがいい仕事です。

CM

徹子
13歳からお仕事してらっしゃいます。

ドヌーヴ様
もっと後です。13歳のときはエキストラとして出ただけなので。
実際は15歳半です。でもまあ、15歳半でも随分若いですけどね。

徹子
ははは!随分若いですね。
今日まったく映画界の、そういう…あの…なんてゆーんでしょーねー、複雑なことに巻き込まれずに、御自分で、好きなように生きてきたということが不思議に思われますけど。

ドヌーヴ様
早くに子供を作りました。
なので自分にとって正常な家族との生活も必要だったのです。
正常というのは、仕事がないときに普通の家庭生活をしたかったのです。
私にとって重要だったからそうしたのです

徹子
そういうところもお変わりのないところだとビックリしております

ドヌーヴ様
私は本当に変わっていません。
若い頃から殆ど性格が変わっていません。
色んなことを学び進化したかもしれませんが、好きなもの・嫌いなもの・趣味は若い頃から変わっていません。

徹子
この前もそう思ったんですけど今回お目にかかって尚のこと、そういうことを、例えば19年前のビデオを見せていただいていいですかと言うようなことを、「えー
19年前って私随分変わっちゃってるからダメ!」っていう方もいらっしゃると思うのに、「ああいいわよ」ってすぐ仰るっていうのは…

ドヌーヴ様
人が変わるのは当然のことです。変わるのは本当にいいことだと思います。

徹子
でも普通…綺麗な女優さんてやっぱり前はどうだったって思ったりすると思うんですけど。

ドヌーヴ様
確かにそれは男優にしても女優にしてもそうでしょう。
昔演じた役のイメージでかたまってしまう。
TVで古い映画も放送されますし、昔のイメージと比べられるという問題があります。
そういうときには残酷なこともありますが、それが人生ですから。
抗うことはできません。
昔のイメージがあるということ。それは今のイメージの横に重なります。
でもそれが人生ですから。
戦うことはできません。
でも…実際に会ったとき、20年前のイメージを持っていても、それほど時間が経ったとは思いません。私自身は驚かれましたね。私自身、哲学者ですから

徹子
すごい。すごいと思います。
ほんと尊敬します。
私もそうでありたいと思いますけど…
あの…なかなか…難しい
(珍しくしおらしい徹子)

ドヌーヴ様
確かに難しいかもしれません。でもあなたと違いまして、私自身毎日イメージの問題と向き合っているわけではありません。
徹子さんの場合は毎日こうやって撮影されているわけですから昔のイメージに直面しなければなりません。
毎日お化粧をしてTVに出るのは大変だと思います。
私の場合は年間で分散されています。毎日しなければいけない、となると私にとっては本当に難しいことだと思います。

徹子
撮影のないときに、外に出られるときにお化粧されないこともあるんですか?

ドヌーヴ様
ええ、いつもです。

徹子
え??日本ではすっぴんと言うんですけど、何もなさらないで、そのまんまで。

ドヌーヴ様
パリではみんなが急いでますから、髪型を変えて眼鏡をかけていれば、特にいつも周りに見られている感覚はありませんから。

徹子
歩いてて「あ、カトリーヌ・ドゥヌーヴだ、カトリーヌ・ドゥヌーヴだ」ってみんな言ったりしないですか。

ドヌーヴ様
そういうこともありますけど、私の住んでいる界隈は昔から住んでいるので、近所の人たちは私がいることに慣れていますので。

徹子
でもみなさん、お幸せですよね。
いつもそういう…カトリーヌ・ドゥヌーヴさんなんて…

ドヌーヴ様
みんなが喜んでいるかわかりませんが事実はそういう状態です。

CM

徹子
で今度の映画なんですけれども『しあわせの雨傘』。これはどういう映画で?

ドヌーヴ様
フランソワ・オゾン監督の作品です。『8人の女たち』の監督です。
コメディで、’70年代が舞台になっています。
私は、地方に住む女性で、家族の問題があり…夫が持つ工場の工場長になるという役を演じています。
家に閉じこもっている女性が開放されてとても実践的な女性になり、他の人たちとうまくやっていき、イニシアティブをとるという…
ですので現代の女性の反逆といいますか、復習を描いています。

徹子
なるほどね(さらりと流すなーーー)
VTRを拝見します

(予告)

徹子
本当に面白そうな映画だと思います

ドヌーヴ様
確かにとても面白いコメディです。喜びを与えてくれる映画です。

徹子
そうですね。
でもあの、ジョギングしてらっしゃるところがあって、’70年代のジャージーで、わざわざ、なんか衣装の方がお作りになったそうですね。
(わざわざ?)

ドヌーヴ様
その通りです。’70年代に使っていた素材で…これ、化繊なんですけど今日のものより厚い生地なんです。

徹子
カーラーって言うんですかね、頭にこういう風に…是非ああいう風に…

ドヌーヴ様
そうカーラーです。
アメリカ人はよく朝こういう風にしています。カーラーをしたまま外出して買い物をしているアメリカ人がいましたので、つけました。
カーラーをつけていないとあまりにも洗練されていましたので。
カーラーをつけてジョギングをして、帰宅後に身なりを整えるというイメージがありますので、結果こうなりました。

徹子
じゃ、この映画は楽しい。

ドヌーヴ様
ええ。この工場は演劇と同じように雨傘の工場だからです。

徹子
ふふ。最初の映画が『シェルブールの雨傘』だったので、まあそういうこともあるかもしれませんね。

ドヌーヴ様
はい、私は雨傘に追いかけられています(笑)

徹子
あーでもほんとに今日はお目にかかれて、お元気なかたのお話を聞かれてみなさんどんなにか幸せだったと思います。

(エンディング流れる。)

ドヌーヴ様
ありがとうございます。

徹子
みんな、カトリーヌ・ドヌーヴさんのように生き生きと生きられたらどんなにいいだろうと思います。

ドヌーヴ様
(再びパンダの置物をいじりながら)
Ah, oui!

徹子
あの、お嬢さんとお孫さんたちによろしくお伝えください。

ドヌーヴ様
Merci, à vous également
健康で良い年になりますように。

徹子
メルシー