『木を植えた男』L’Homme qui Plantait des Arbres フレデリック・バック展

現在神保町シアターではスタジオジブリ配給でフレデリック・バックの映画上映中。

DVD買って自宅で何度も観るか、1,800円出して劇場で観るか・・・
悩んだ挙句、まずは東京都現代美術館で10月2日まで開催中の「フレデリック・バック展  木を植えた男。」に行ってから結論を出そうと、ぶらり清澄白河へ。

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コクリコ坂はあんまり心に刺さらなかったけど、ブログには書いていないだけで実は大のジブリ好き。
ジブリの某作品が参考にしたってんで、自分たちの結婚式会場決めたんだもの。
シータの三つ編み真似たもの。(まあ実際はドーラにしかならんかったけど)
宮崎・高畑 両監督が敬愛するフレデリック・バックだってんだもの。
それは行かなくては!!

アニメーション作家としてのフレデリックしか知らなかったので、彼の膨大な数の作品を鑑賞できて感動しきり。

会場に入ると、先ずはZONE1で 『木を植えた男』を3分くらいずつに区切った映像を、9つのスクリーンで鑑賞。
褪せた色、希望の光すら見えない荒れ果て枯れた土地に、無欲恬淡な男が木を植えていく。
レンガ屋根が潮騒に、木が大海に変化していく美しい映像が希望の表現かとも思われ。
地上で人類が醜い行為・戦争を起こしていることも知らずに、孤独な男はただただ木を植えていく―

フレデリックは、ジャン・ジオノのこの物語がノンフィクションだと思っていて、実際に木を植えた男・エルゼアール・ブフィエが架空の人物だと知ったときに大きなショックを受けたそうです。。。それでも植林活動を自ら進め、「ジオノの森」と名づけた森を作りました。
この映画はアカデミー賞短編アニメーション賞受賞作品。世界中で上映され、映画を観た人たちによって世界中で植林活動が始まりました。フィクションの作品が、現実に。

28分の上映とは言え、のっけからいきなり立ち見ってのは…と思いましたが、その後なんと3時間もかけてフレデリックさんのお仕事を見学。楽しいの、バックワールド。

プロローグ。
二歳のときに描いたという絵も展示してありました。「悲しきピエロ」。ピエロがパイプをふかしながら俯く絵!末恐ろしい子供です。音楽家の両親のもとに生まれたフレデリックは、フランスの地方の美しい田園風景などを描きながら幸せな幼少期を過ごしました。
父親の仕事の関係でパリに移り住み、自然と触れる機会が減ったものの、様々な美術作品に触れ、エティエンヌ美術学校へ入学。そこで複写課題としてマテュラン・メウの「ライオンの素描」を選びました。
1939年、ナチス・ドイツがポーランドを侵略し、第二次世界大戦が始まると、戦火を避けてレンヌへ移住。
レンヌ美術学校へ入学したフレデリックは、そこでマテュラン・メウと出会い、師事することに。
「よく観察し、描きとめ、記録せよ」「生きている今の時代の証人になりなさい」
メウ氏の言葉どおり、フレデリックは描き続けます。目に映るものすべて、といってもいいくらい膨大な数のスケッチが会場中ところ狭しと展示されていました。
メウ氏の作品「宮島」もありました。「ブルターニュの画家 日本を旅する」という画集も。

戦時中にはジャーナリストや戦場カメラマンのように「戦争・占領・解放」をスケッチを描き続け、記録してきたフレデリック。
「フランス軍に入隊しようとしたが・・・」というエピソードには、思わず笑ってしまいましたが。

戦争が終わる頃、フレデリックが初めてお金をもらった仕事「デュ・ゲクラン」という本の挿絵の展示も。(それまで無給で、ということも驚愕ですが!!)
その頃既にカナダへ想いを馳せていたフレデリックは、カナダ・ユベルドー在住のギレーヌさんと文通を始めます。
そして2年半文通は続き、1948年に35日間の航海の末、ギレーヌさんのいるカナダへ。
会って三日後、スピード結婚!ここのエピソードがあまりに微笑ましく幸せで、思わず泣いてしまいそうに(オーディオガイドつきでの鑑賞がオススメ!)。

貧乏新婚旅行、自転車で1200kmの旅、フォルクスワーゲンに乗って家族旅行…メキシコ、フランス、スイス、イギリス、オーストリア…世界中の風景を描き続けました。
自分が既訪の地でも、写真撮ってブログにアップしてー、という旅とは視点も感じ方も全く違うスケッチを目の当たりにする。懐かしさと不甲斐なさとがないまぜになった気持ちで鑑賞。

それからラジオ・カナダにレタリング担当として入社し、アニメーション(動くイラスト)の仕事もこなすようになったフレデリック。
切手やレストランの内装デザインなど様々な仕事をこなす中、モントリオール万国博覧会受付会場の装飾、プラス・デ・ザール駅のステンドグラスの製作を成功させたのです。
当時のアニメーション(動くイラスト)の原画や映像も。切り絵を糸で引っ張ったり、筒状の絵を回したり…と当時の手法を興味深く眺める。当時から50年という歳月が経ちシネコンで3D映画上映が常だなんて信じられない時代になりましたが、逆に斬新に感じたり。

アニメーション作家としての作品は、実際に原画や映像の一部を見ることができます。
『イリュージョン?』あたりからエコロジストとしての精神が垣間見れ、『大いなる河の流れ』はその集大成。
海底から人類の過ちを反省させられ、そしてこれから人類はどう生きるべきか。
絵のタッチもさることながら、ジブリ作品はフレデリックのメッセージを伝承しているように思いました。

帰りにグッズを買ったので、それはまた後日アップします。
DVDも即効購入。神保町シアターにも近いうちに行かなくては!(結局スクリーンでも味わいたい強欲ノリコさん)

木を植えた男/フレデリック・バック作品集 [DVD]

木を植えた男




これは声に出して読みたい!!!と、こちらも購入してしまいました。

対訳 フランス語で読もう「木を植えた男」

CD付なので、iPhoneに入れて通勤途中に聞こうと思います。

映画の中では違う言い回しになっていたけれど、羊飼いの表現が好き。

Cet homme parlait peu.
C’est le fait des solitaires, mais on le sentait sûr de lui et confiant dans cette assurance.

これから生涯をかけて奇跡を起こす一人の孤独な男。その内に秘めた熱意がこの短いフレーズで伺えます。
そして、

Il me répondit très simplement que si Dieu lui prêtait la vie, dans trente ans, il en aurait planté tellement d’autres que cex dix mille seraient comme une goutte d’eau dans la mer.

“あと30年神様が生かしてくだされば、私は木を植え続けるのだから、この一万本の木は大海の一滴にすぎなくなる”と答えました

のように、非常に詩的で美しいフレーズも数々あります。
「無欲の思想」の冒頭から、「偉大な魂への尊敬」の結び、そしてまた冒頭を読み返すことで、フランス語の美しい響きと新たな発見とで感銘を受けるのです。

そしてフランス語で読んだ後に、フレデリックの映像を観ると、また一層心打たれます。キュン。



清澄白河の駅は、以前にY子さんと一緒に何かの展示会を見に来たことがあったんですけど、そのときに彼女が
「おばあちゃん家のにおいがするー」と言っていたのを思い出しました。
渋谷から電車で20分余り、銀座からも近くめちゃくちゃセレブっぽい駅名なんですが、下町情緒溢れる街です。

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かかしコンクールだそうで。徹子の部屋出演時のレディ・ガガをいち早く取り入れていたのにはビックリでした。

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