最初の人間 Le Premier homme

新年あけましておめでとうございます。
今年も何卒宜しくお願い致します。

大晦日、紅白で嵐の歌う「ふるさと」を聴き、泣いてしまいました。
生まれ育った土地、感謝する人がいる土地…
様々な「ふるさと」を思い浮かべながら。

さてさて、去年の映画館納めは、『最初の人間』@岩波ホールでした。

⇒日本公式サイト:http://www.zaziefilms.com/ningen/
ザジフィルムさんのイントロ大好き☆

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監督は『家の鍵』のジャンニ・アメリオ。
『異邦人』のヴィスコンティもそうですが、イタリア人監督ですね。

家の鍵 [DVD]

アルベール・カミュ、未完の自伝的遺作の映画化。
フランス人作家が、生まれ育ったアルジェリアに帰郷するという物語。

一緒に暮らす母、祖母、叔父。
家族みな文盲でありながらも文学の道を志すようになったジャック(カミュ自身)。
(年老いた母が「息子の顔が載っているから」というだけで読めない新聞をジャックに差し出すシーンはグッと来ました)
貧困に苦しむ家族、小学校卒業後は叔父の勤める新聞社で働くしか選択肢がなかったけど
担任教師・ベルナール先生が進学させるよう家族に直談判したことにより、ジャックに文学の道が開けた。

「予習を忘れた」と言い授業をするのを躊躇う真面目一辺倒な先生に声をかけたのがジャック。
子役の演技が大仰でなく巧かったので、子供時代のジャックの台詞はませたものであったけれど、彼の潜在的な賢さを表現出来ていたように思います。

激動の時代、国家間の紛争…久しぶりに帰郷したふるさとで過去と対峙しながら非暴力を訴えるカミュ。
眩しい太陽の光、貧困に喘ぐ苦しさ、学友との思い出…淡々としていながらも、自分を造り出した土地への熱い思いがひしひしと伝わって来る、いい作品でした。

最初の人間 (新潮文庫)

↓こちらの『異邦人』対訳本、装丁はKaoluluさんが手がけていますー

対訳 フランス語で読もう「異邦人」