1978年に初めて日本公開されたロベール・ブレッソンの『白夜』。
私と同い年のこの作品が、27日から渋谷ユーロスペースにて35mmフィルムでリバイバル上映されてます。
配給会社の「エタンチェ」は、この『白夜』を公開するために個人が立ち上げた会社なんですって。
⇒一ファンの思いで上映実現 ブレッソン 幻の映画「白夜」
(ジャック・ロジエ上映にこぎつけた方と同じ方だったんですね…!!)
公開二日目、フランス仲間のKさんと一緒に観てきました。
『バルタザールどこへ行く』『スリ』『ラルジャン』と、ここ一、二年でブレッソン作品を鑑賞することはあったけれど、この『白夜』が一番好きだった。
ちょっぴり残酷な結末ではあるけれど、こんなにも心が満ち足りた映画体験ができるなんて!!!
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※以下、ネタバレ含みます…
マルト役のイザベル・ヴェンガルテン。
北欧系美人の彼女が、この満足感をアップさせたことは言うまでもなく。
ハンガリーの民族衣装のような可愛らしいワンピースに全身を覆う黒いマント、っていう衣装も、彼女の少女のような内面と、それを隠したい思いを出していたのかなー。
重力に逆らい上をツンと向いた綺麗な乳頭、真っ白な乳房、細く引き締まった脚、痩せ過ぎてない腰。
ぎこちない動きが妙に艶かしく、一コマ一コマが絵画のように美しいシーン。
何度でも、何度でも見たい。
ジャック役のギヨーム・デ・フォレ。
自分でテープレコーダーに吹き込んだ恋物語に酔いしれる。
「MARTHE」(マルト)という文字列を見ただけで激しく反応する。
そんな中二病的な恋に夢見る夢男くん。
妄想で幻の恋を繰り返すジャック、女の子に声すら掛けられないのに、マルトに「惚れ易い」とちょっと自慢げに自己紹介するのも可愛らしい。
「マルト、マルト、マルト、マルト…」をバスの中で再生するのはやり過ぎよ、捕まるよ、気をつけて。
でもブレッソンは、ジャックが感じるのと同じように「恋の興奮」を私たちに与えてくれる。
ジャックとマルトの会話を遮る、セーヌ川遊覧船の演奏。
公園で眺めていたカップルを真似て、マルトを抱き寄せるジャック。
カフェのテーブルの下で手を握り合うジャックとマルト。
男女が手を握るシーンだけでこんなにもドキドキするなんて!
こんなにも幸福感で満たされるなんて!
夜の静けさの中に響くヒール音、チャイムが何度もなる中で部屋の片付けをする音、下宿人がノックする音…
効果音ひとつひとつがやたら印象に残る作品ですが、
ラスト、「君の愛よ、ありがとう」と、再び自分の録音した声をBGMにキャンバスに色を入れるジャック。
筆を動かす音がずーっと脳内にこだましてる。
すごく切なく哀しいはずなのに。
肌も感性も何もかもが瑞々しくて、心をすべて奪われた感じ。
いい作品でした。
リピーター割引もあるので、また見に行こう。
パンフレットは¥800。
今回の上映に向けての関係者の方々の熱い思いが詰まった、かなりすごい内容&シナリオつき。
今から再鑑賞に向けて、じっくり読もうと思います。
【ネタバレあり】
こんにちは~、これ今年一番でした。
あのナイトクルージングしてる遊覧船の輝きを見るように
ず~っとうっとりしてた気がします。
最後、自分の吹き込んだ物語に、狂おしい恋心をまどろませるジャック。
そのうち(たまにいる)電車の中で一人でしゃべってるオジさんになりそうで、、、いたたまれないです。
振り向いてくれそうになった人に「彼をまだ愛してるね?」なんて言ってちゃダメですねw
テネシアンさん
おーさすが、もうご覧になってる!
ユーロスペース大盛況でしたよねー。
この作品にかける配給側の情熱も伝わって来て、涙こそ流さなかったものの、ずっと感動しっぱなしでした。「うっとり」…そうですね、まさしく!
今度独り言つぶやいてるおじさんに遭遇したら、愛おしく思えるかもしれません(笑)
元カレを思い出させる言葉は禁物ですよ、ムッシュ!
こんばんは~。
いや~本当におもしろかった!!すてきな映画でしたね~。お誘い頂いて感謝感謝です。
たしかに、音が印象的でした~。あと、色と通行人も!鮮明?でした。どのシーンも隅から隅まで見逃せない感じ・・・
のんさんの記事はさすがだな~と思いながら、ジャックにはいつか幸せになってもらいたいな~と思いながら、何度も見たい作品だなーと私も思った次第です。
とりあえず、夜のポンヌフ、行ってきますぜっ!
>Kさん
こちらこそお付き合いありがとうございました!
いや私の散文など全然ですが…
そうそう、通行人ね( ^ω^ )みんなキャラがありそうな。
ジャックは幸せになるさ、きっと!!
そしてリアルなポンヌフまでカウントダウンですね!
Bon voyage 😉
「白夜」について調べていて、のんさんのブログにたどり着きました。ジェーン関係でいろいろお世話になっているBill McCrearyです。いやあ世の中(ネット界)せまいですね。
>私と同い年のこの作品
いいんですか? こんなこと書いちゃって(笑)。
私もこの映画見ましたよ。きれいな映画でしたね。でもこれは原題のほうがいいですね。ロシアを舞台にした原作は確かに「白夜」でしょうが、「夢みる人の4夜」っていうほうがこの映画の雰囲気を伝えていると思います。なんといっても夜のパリの景色が美しいじゃないですか。でも5月革命のころのパリってなんとなくあこがれます。私たちの年齢では、ぜったい行けませんもんね。69年にパリに行った私の父がうらやましい。
それから、女性のブログでこんなこと書くのもどうかですが、イザベル・ヴェンガルテンのヌードはとてもきれいですね。思わず見とれてしまいました。
ストーリーは、だいたい予想通りにすすみますね(笑)。そして予想通りの落ち。でも、あの彼と主人公なら、絶対主人公のほうがいいと感じる私はやぱり凡人ですかね(笑)。のんさんは? でもあんな美人とだったら、男性もみんな目の色変えちゃいますよね、きっと。
ところでいらぬ情報でしょうが、主人公の俳優の父親はこちらの方です。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Louis-Ren%C3%A9_des_For%C3%AAts
親子でこちらの映画に出演していますね。
http://www.imdb.com/title/tt0154128/
だから厳密に言うと、主人公を演じた人は、俳優経験がない、ということではないみたいですね。
また、主人公の名前で検索したら、同名の天体学者の名前を見つけました。たぶん同じ人だと思います。パンフレットにも、天体専門の学生、ってありましたから。
見るのが難しい映画ですから、もう一回くらいどこかの映画館で見たいと思います。
以下余談です。年末年始にベルギーとルクセンブルクを旅しまして、しばらくぶりに実地でフランス語を話しました。やっぱりもうちょっとフランス語を勉強しなければといつもながらのことを感じました。あと地元の女性が「私はオランダ語なんか話せないわ」と言い放ったのが印象的でした。
また遊びに来ます。