『白夜』Les Quatre Nuits d’un reveur

1978年に初めて日本公開されたロベール・ブレッソンの『白夜』。
私と同い年のこの作品が、27日から渋谷ユーロスペースにて35mmフィルムでリバイバル上映されてます。


http://www.byakuya2012.com/

配給会社の「エタンチェ」は、この『白夜』を公開するために個人が立ち上げた会社なんですって。

一ファンの思いで上映実現 ブレッソン 幻の映画「白夜」
(ジャック・ロジエ上映にこぎつけた方と同じ方だったんですね…!!)

公開二日目、フランス仲間のKさんと一緒に観てきました。

『バルタザールどこへ行く』『スリ』『ラルジャン』と、ここ一、二年でブレッソン作品を鑑賞することはあったけれど、この『白夜』が一番好きだった。
ちょっぴり残酷な結末ではあるけれど、こんなにも心が満ち足りた映画体験ができるなんて!!!

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※以下、ネタバレ含みます…



マルト役のイザベル・ヴェンガルテン。
北欧系美人の彼女が、この満足感をアップさせたことは言うまでもなく。
ハンガリーの民族衣装のような可愛らしいワンピースに全身を覆う黒いマント、っていう衣装も、彼女の少女のような内面と、それを隠したい思いを出していたのかなー。
重力に逆らい上をツンと向いた綺麗な乳頭、真っ白な乳房、細く引き締まった脚、痩せ過ぎてない腰。
ぎこちない動きが妙に艶かしく、一コマ一コマが絵画のように美しいシーン。
何度でも、何度でも見たい。

ジャック役のギヨーム・デ・フォレ。
自分でテープレコーダーに吹き込んだ恋物語に酔いしれる。
「MARTHE」(マルト)という文字列を見ただけで激しく反応する。
そんな中二病的な恋に夢見る夢男くん。
妄想で幻の恋を繰り返すジャック、女の子に声すら掛けられないのに、マルトに「惚れ易い」とちょっと自慢げに自己紹介するのも可愛らしい。
「マルト、マルト、マルト、マルト…」をバスの中で再生するのはやり過ぎよ、捕まるよ、気をつけて。

でもブレッソンは、ジャックが感じるのと同じように「恋の興奮」を私たちに与えてくれる。

ジャックとマルトの会話を遮る、セーヌ川遊覧船の演奏。
公園で眺めていたカップルを真似て、マルトを抱き寄せるジャック。
カフェのテーブルの下で手を握り合うジャックとマルト。

男女が手を握るシーンだけでこんなにもドキドキするなんて!
こんなにも幸福感で満たされるなんて!

夜の静けさの中に響くヒール音、チャイムが何度もなる中で部屋の片付けをする音、下宿人がノックする音…
効果音ひとつひとつがやたら印象に残る作品ですが、
ラスト、「君の愛よ、ありがとう」と、再び自分の録音した声をBGMにキャンバスに色を入れるジャック。
筆を動かす音がずーっと脳内にこだましてる。

すごく切なく哀しいはずなのに。
肌も感性も何もかもが瑞々しくて、心をすべて奪われた感じ。
いい作品でした。
リピーター割引もあるので、また見に行こう。

パンフレットは¥800。
今回の上映に向けての関係者の方々の熱い思いが詰まった、かなりすごい内容&シナリオつき。
今から再鑑賞に向けて、じっくり読もうと思います。

ロベール・ブレッソン DVD-BOX 1 (ジャンヌ・ダルクの裁判/湖のランス口/たぶん悪魔が)

ロベール・ブレッソン DVD-BOX 2 (スリ/バルタザールどこへ行く/少女ムシェット)