フランス映画祭のフォトレポート、最終日はアンスティチュに浮気してしまったのでこれが映画祭としては最後のレポートになります。
(やっと!)
私の今年の映画祭最後の作品は、今年のセザール賞で最優秀作品ほか7部門受賞した『ティンブクトゥ』(Timbuktu)。
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© Le Pacte
上映後にアブデラマン・シサコ監督が登壇。
去年の団長(ト●ー・ガト●フ)よりも、“団長”感を醸し出しているその見た目…
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「この映画をご覧いただきありがとうございます。
こうしてみなさまとお時間を過ごせること、大変光栄に思います。
この映画を選んでいただいた日本の配給会社にも感謝します。
日本でアフリカの映画を公開することは珍しく、”勇気のいること”だと思いますので。
映画を見ていただいた方とこのように直接お話をするというのは私はとても苦手なんですが…(笑)」
と、謙虚な姿勢でご挨拶。
そして製作のきっかけはある日の新聞記事だったそう。
「この映画はとても“緊急”な状態で作られました。
2012年の北マリ占領事件を背景にしています。過激派の占領は一年も続きました。
新聞で、ひと組のカップルが恐ろしい“石打ちの刑”で殺されたことを知り、非常にショックを受けました。
これは野蛮な行為、そして暴力に反対するための映画です。
イスラム教は決して暴力の宗教ではありません。暴力を使う人もいる、ということです。
そもそも宗教とは、愛であり、受け入れること、そして許しなのです。」
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会場からは
「出演者はプロの役者さんなのでしょうか。非常にリアルでした」
という質問があがると
「プロの俳優もいますし、映画初出演の人もいます。
主人公のキダーンを演じたイブラヒム・アメド・アカ・ピノは、普段は音楽家です。
映画に出演するのはこれが初めてでした。」
彼の妻役と石打ちにあう女性は歌手だったり、俳優が本業でない出演者もたくさん。
監督の友人も出演されてたのだとか。
「プロの俳優でない人と仕事をすることには慣れています。
お互いの信頼関係で成立していますね。」
続いて監督が“人間の弱さ”を表現したというシーンについて。
(ネタバレにならない程度に…)
「夕日が沈む前に大急ぎで撮影しなければいけなかったので、一回のテイクで撮りました」
夕日と壮大な土地がとても印象的な絵。
このシーンは劇場を出てもしばらく頭から離れませんでした。
目を覆いたくなるようなむごい絵も多い作品だったのもあるかもしれません、このシーンの美しさと人間の小ささの対比が、やたら綺麗に見えました。
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一方で人物の描写については
「過激派のメンバーについても、暴力的な面ばかりを描いてはいません。
暴力を見世物のように描きたくなかったのです。
暴力シーンばかりを見せるのはとても危険なこと。
“人間の死”を描くのにも、血を見せる必要もありません。
ですので過激派の日常的な描写も交え、一人の人間だということを訴えています。
重要なのは、“暴力は、人間のする行為”だということ。
だから恐ろしいことなのです。
人間にはそのような恐ろしい能力があるのです。」
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作品タイトルについては
「ティンブクトゥは街の名前。
その街の名前を映画のタイトルにすることによって、占拠された街の名前を覚えてもらいたかった。」
と。
過激派の目の届かない場所でサッカーや歌など“普通の日常”を送る風景については
「脚本は北マリ占拠中に書きました。
解放後に現地で取材を進めている中で、彼らは“普通の日常”を送ることで“平和な抵抗”をしていることがわかりました。
特に女性たちは勇気を持って行動できる、ということを示したかったのです。」
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まったく誇張されていない無慈悲な描写の連続に胸が痛くなるのだけれど、地球の裏側で起こった真実の物語。
日本公開も今年中ということで決まっているようです。