はっ!
去年暮れにアンスティチュで見た『ジミーとジョルジュ 心の欠片(かけら)を探して』(原題:Jimmy P.)、
デプレシャンのSkypeトークショーの模様どころか感想すら書いていなかったー!
そんなわけで年越しレビュー。
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© 2013 Why Not Productions-France 2 Cinema-Orange Studio
アルノー・デプレシャン監督&マチュー・アマルリック出演という
ぼくらの胸キュン映画をいくつも作ってきた強力タッグですが全編英語の作品。しかも会話劇。
『クリスマス・ストーリー』から5年も経ってしまいましたか…
あらすじ(シネマトゥデイより)
アメリカ・モンタナ州で生活しているネイティブアメリカンのジミー(ベニチオ・デル・トロ)は第2次世界大戦から帰還後、原因のわからない諸症状に悩まされ軍の病院に入院する。そこで人類学者でもある精神分析医ジョルジュ(マチュー・アマルリック)と出会い、対話診療を繰り返すうちにジミーは自らの心に潜む闇と向き合うことになる。やがて二人は、患者と医師という立場を超越した友情を育んでいき……。
ジョルジュ・ドゥヴルーの「夢の分析」を原案に、実話をもとに作られた作品。
ジミーの治療を依頼された時のジョルジュ、
「ちょっとしたパーティにお呼ばれ」的なご機嫌な感じと
かわいい訛りのある英語に笑わされ、ぐっと引きこまれる。
真摯に向き合うジョルジュのカウンセリングに、
ジミーは打ち解け、悩まされた過去や夢の話をジョルジュに語っていく。
一方のジョルジュもユダヤ人という境遇、過去の出来事を背負って生きているもそれを曝け出そうとしない。
マドレーヌ(ジーナ・マッキー)の登場から、ジョルジュの心境にも変化が見られ…
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© 2013 Why Not Productions-France 2 Cinema-Orange Studio
ジョルジュがぞっこんラブなマドレーヌは人妻。
わざわざジョルジュを訪ねてきて夜をともにするのに、さらりと夫のもとへ帰ってしまう。
女の怖さというよりも「その他大勢の中の一人」という存在を移民であるジョルジュに突きつけたような…(やっぱり怖い)
そしてジミーのカウンセリングをし、ジミーの心の奥底にある闇に触れているうちに自らの人生を見つめ直すようになっていく…
主演二人の演技には圧倒させられるも
かなり会話のボリュームがあるので字幕を追いかけるのが大変でした。。。
デプレシャンが伝えたかったことは本当は違うのかもしれないけど、
相手への敬意・真摯な姿勢を持ってコミュニケーションをとることの大切さを感じることができた作品でした。
試写会上映後に行われたデプレシャンのSkypeトークショー。
デプレシャンの自宅の風景が見れただけでも感激。
トークショーの間、彼は何本煙草を吸ったかしらー。
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なななーんと90分にも及ぶ濃厚なトークショー。
その中からメモを一部抜粋。
◆『エスター・カーン めざめの時』で英語の映画は撮っていたけれどアメリカで撮影するのは初めて。
だけど、『Jimmy P.』は今まで撮ってきた作品の中でもっともヨーロッパ的でフランス的な作品。
◆ショーン・ペンが監督した『プレッジ』を見て、ベニチオに出演オファー。
(ベニチオは“ネイティブアメリカンで精神分裂病の患者”として最初のほんの僅かなシーンで出演。)
プエルトリコ出身のベニチオをネイティブアメリカン役にした理由は
「ハリウッドスターになってもアメリカと距離を置いている」から。
ベニチオは、14才のときに渡米し、若い頃からハリウッドに身を置いているのにも関わらず「犬以下の扱いを受けている」とまで言っている。
人種差別問題への強い憤りを、ジミーにもたらしてくれた。
◆GrandベニチオとPetitマチューの肉体的コントラストもおもしろかった。
まるでローレル&ハーディのようだった。
参考:
マチューの役柄は神経質でヒステリー。
ベニチオの役柄は苦しみを内面に秘めている。
フランス的演技とアメリカ的演技という、ふたつの演技のコントラストもある。
そこにジーナ・マッキーのイギリス的演技が加わる。
これはまさに自分の作ろうとしている「演技の多様性」に対応するもの。
※マチューやベニチオにも負けない「眼力」での演技が印象的だったジェーン役のミスティ・アッパムは、この撮影の後に亡くなったそうです…
◆次回作は『Nos Arcadies』。
『そして僕は恋をする』のポール(マチュー)の幼少期~青年時代を描いた物語。
『ジミーとジョルジュ 心の欠片(かけら)を探して』
http://kokoronokakera.com/
アルノー・デプレシャン特集 『ジミーとジョルジュ 心の欠片(かけら)を探して』をめぐって
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1501220131/