チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~ Poulet aux Prunes

体調不良と旅行が重なってなかなか観れていなかった新作映画。
この週末にまとめてドーン!と鑑賞。
フィルメックスやポーランド映画祭なんかもあって、もうスケジューリング大変

この秋一番楽しみにしていた作品
『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』にもようやく出会えました。

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日本公式サイト:http://chicken.gaga.ne.jp

マチュー・アマルリックの起用は、サトラピ自らの希望とのこと。
原作も拝読したのですが、確かにあのギョロ目、マチュー以外のキャスティングは考えられない。

マチュー演じるナセル・アリが愛した女性・イラーヌ役のゴルシハテ・ファラハニ、滝川クリステル系の美人。
どこかで見覚えがある…と思って調べたら、『彼女が消えた浜辺』で主演だったあの子でした。
『彼女が…』のときはベールを被っていたこともあってか、そこまで顔の印象が残らなかったけど
サトラピの魔法もあってか、ナセル・アリ同様に吸い込まれそうになるほど美しかった。

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キアラ・マストロヤンニの役どころに鳥肌。
(原作は読んではいたものの)映画に関して予備知識をそこまで入れてなくてよかったと思えた瞬間。
そしてナセル・アリの母親役にイザベラ・ロッセリーニ!
と、半ばマチュー目当てだったのに、女性陣の豊かな表現力と妖艶さに圧倒されつつ。

で、感想。

大爆笑コメディ要素も織り交ぜつつ、めくるめくサトラピマジック。
ファンタジックなのに、切ない。

エピローグでいきなりネタばらし、そしてあらゆる記憶の断片シーン。
1日目から最期の8日目に向かうまで、ヴァイオリンの音色とともに
その断片が、点と点が線になるように繋がれて行く過程が途轍もなく美しく。

生涯愛し続けると決めた人との別離。
理不尽な別れ方、遣り切れない想いをヴァイオリンに込めて、失ったものを補うように延々と音を奏でるナセル・アリ。
最早自らの分身と化していたヴァイオリン。
妻も子供もそれ以上の存在にはなれない。
…女目線としては、妻側に共感する点もあり…
長年思い続けていた男性との結婚も、自分を愛してくれない夫。
それでも愛するがゆえに、本心と裏腹にヒステリックになるのも理解できる。
「チキンのプラム煮」を作ったときに唯一見せてくれた笑顔。
その笑顔を見れた時の計り知れない喜びも理解できる。
ヴァイオリンを壊してしまったのは衝動的なことなのかもしれないけれど
怒りの矛先は子供の世話をしない夫でなく、
妻はただ、自分に愛情を傾けて欲しかったのよね。
怒りではなく、嫉妬心か。。

ナセル・アリが死を決意したのはなぜなのか…。
自分の分身が壊されてしまったから、想いを込める手段を失ったから、というのもあるだろうけど
心のどこかでイラーヌが自分のことをずっと想い続けていてくれると信じていたのでしょう…
テヘランの街で彼女と再会したときの、彼の嬉々とした表情!
芸術家のナセル・アリには共感出来ないけど
一途な(ネガに言うと病的な)彼の想いには、
終映後に会場が明るくなってから、じんわりと胸が締め付けられそうになりました。

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結局好き過ぎて二回見たのでした。へへへー