日仏学院で開催されていたマチュー・アマルリックのレトロスペクティブ。
マチューが監督ou出演作品が一挙に観られるという、フランスでもこんな機会はないであろう素晴らしい企画でした。
日仏学院・映画担当の坂本安美さんに感謝!
そして二年連続で来日してくれたマチューにも大感謝。
Q&Aのときは、あのギョロっとした瞳で、質問する人のほうをじっと見つめてた。
本当は質問する気満々だったけど、あの瞳で見つめられたら卒倒してしまう!!!
緊張で、吉兆の伝説の会見なんかよりも「頭が真っ白」に、純白になってしまって、挙手すらできなかった…
マチューの真摯な受答えを目の当たりにして、彼の映画に対する熱意を体中で受け止めた。
「映画を観ることは呼吸と同じ」(あ、これは翌日のフィルセンで言ってた言葉だっけな…)
プロフェッショナルってこういうこと。
ものすごいパンチを喰らったかのような衝撃を受けたのでした。
このイベントでは、マチュー自身がセレクトした他の監督作品も上映がありました。
昨年ユーロスペースであったイベントジャック・ロジエのヴァカンス以来、すっかり虜になってしまったジャック・ロジエ監督作品も。
『新学期』Rentrée des classes
Var県のCorrensという小さな村の小学生たちの新学期。
夏休みの宿題はもちろんやってない。
通学カバンを川に投げたり、服のまま川で泳いだり、いたずらをしたり。
1955年の作品。
トリュフォーの『あこがれ』を連想させる、子供たちの無邪気な姿。
主人公のパッツン前髪やちょっとふて腐れる表情はルイ・マルの『地下鉄のザジ』のドモンジョちゃんだったり。
燦燦と照りつける眩しい太陽の光、やわらかで女性的な川の流れ…ロメールが撮るような、美しい自然の光景。
モーツァルト、ダリウス・ミヨーの音楽。
――たった24分と言う短いフィルムの中に、大好きな要素がめいっぱい詰まってる。
(そういやトリュフォー『あこがれ』も短編だわね)
冒頭の、みんなで川を覗き込んだときに女の子のスカートがはらりとめくれるシーンも好き★
服を着たまま、靴底がやぶけても川を泳いだり、蛇をつかまえてクラスメイトを驚かしたり、厳格な顔の先生がなぜかコメディアンに見えたり(だから余計困らせたいんだけど)…
ああ、「子供」ってこういうこと!
ペンギン村での幼少時代が重なるから余計にキラキラ輝いて、胸キュン度合いが尋常じゃなかった。
大の字になって川に浮かぶシーン。
めっちゃ浅瀬だし、手をついて移動してたけど、なぜか直前に見たマチュー監督作品『ウィンブルドン・スタジアム』でジャンヌが海に浮かぶ絵を連想しちゃった。
↓Youtubeに上がっていた!
本作、DVDで観たことはあるんだけれど、あの場に居た人たちとスクリーンで“映画経験を共有”しながら鑑賞するのは、感じるものが全然違った。幸せな感動!
これがロジエの処女作だなんて・・・ああ、やっぱり日本でロジエ作品がもっと観たい!
この稀有な感動体験をもっともっと味わいたい!!!
余韻で胸がいっぱいになり、この後ジョアン・スファールのドキュメンタリー(マチュー監督作品)が立て続けに上映されたんだけど、全然体に入ってこなかったもの。
1653/7384″ target=”_blank” rel=”noopener noreferrer”>
このDVD、フランスで買いました。
ジャック・ロジエのDVDボックスの中の一本。
1653/7383″ target=”_blank” rel=”noopener noreferrer”>
DVDが5枚も入っていて、たしか60ユーロくらい。
あー、規格が違うからパソコンでしか観れないのが本当に悔しい。
それにしてもこのメーヌ・オセアンのジャケ、どうなんでしょうね。ポパーイ!
1653/7385″ target=”_blank” rel=”noopener noreferrer”>
『フィフィ・マルタンガル』Fifi Martingale
パリで大成功を収めている演出家が突然、ある策謀の犠牲になってしまう。演出家は復讐のために、芝居を書き直すことにするのだが……。ヌーヴェル・ヴァーグの監督たちもが羨むほどの美しい作品を撮ったジャック・ロジエが『メーヌ・オセアン』から15 年ぶりにメガフォンを撮った作品。今回上映するのは、監督が再編集した最新版。
こちらのロジエ作品は2001年製作。公開後にロジエが編集を加えた特別版。DVDボックスには入っておらず、初鑑賞。
マチューがロジエから信頼を得ているからこそ今回の上映に至ったとのことで、これまた感謝。
海辺も川も出てこなくて画面が暗いのがちょっと寂しかったけど、さらに台詞多いのに無字幕でハードル高かったけど、そんなもの全部吹っ飛ぶほど心に染みる秀作だった。
『メーヌ・オセアン』出演陣も見れたしー。
役者魂に燃える俳優が怪我のために降板。
一瞬にして台詞を覚えてしまう驚異的な記憶力の俳優が代役として出演することになるも、一瞬にして記憶喪失に。そしてまさかの特設舞台で黒子。
降板させられた俳優は復讐(?)のために舞台に潜入・・・
と、なんとも過激ではちゃめちゃな展開でありながらも、舞台を人生に準えて観る者をぐいぐい引き込み、ラストのちょっと強引な即席フラメンコで大喝采(いや、きっとあの場にいたみなさんは心の中で拍手喝采のはず)。
…って、私の文才じゃこの感動を表現し切れませぬ…ロジエのレトロスペクティブを希望!!
そもそも、マルタンガル(Martingale)ってなんぞや?ってことを事前に調べておけばよかった。
数学的には確率論のマルチンゲール(英語読み)のことで、カジノ用語のようですね。
「確率二分の一のゲームにおいて、負けたら負けた分の倍額を、勝つまで賭け続ける方法」
カジノのシーンが突発的なように感じられて、単語もわからないものが多くて聞き取れず匙投げ状態だったんだけど、結局あのシーンに重要なキーワードがあったような気がしてならない。嗚呼、自分の無知さを嘆くよ、もう一回観たい!!
マチューに出会えた幸福気分は、ふりかけなしで白飯おかわりできるくらいだったんだけど、
今回のロジエ観賞で、もう白米すらいらないほど幸せ絶頂。
咀嚼だけで幸せを感じれるくらい。エア白米おかわりしまくりよ。
ツイッターのTLもロジエロジエだったし、これは期待できるかしら、近日中のロジエ特集。