アンヌ・ヴィアゼムスキー来日★『バルタザールどこへ行く』

アンヌ・ヴィアゼムスキー。
初めてゴダールの『中国女』を見たときに、口元のエロスに釘付けになった。
アンナ・カリーナといい、アンヌといい、ゴダールの妻になる女は、私の好みの女性でもあるのです。

最近では女優としてではなく小説家として活動していて、
映画『ベティの小さな秘密』(Je m’appelle Elisabeth)の原作者として知られるアンヌ。
彼女が日本にやってくることを知ったのはまだ夏の暑い頃でした。
なのに私ってば油断して、日仏でのチケット完売…(涙)
仕事の都合上、アンヌ様来日中のイベントはこれしか参加できないのに
キャンセル待ちのチケットすら入手できず。
完売の知らせを聞いたのは日仏に向かう電車の中だったのですが
ティーチインは日仏一階ロビーにあるテレビにうつしてくださるとのことで
肩を落としながらも、とりあえず待つことにしました。

アンヌの女優デビュー作『バルタザールどこへ行く』の上映もあったのですが、シネマテークにはもちろん入れない。。。
ティーチインは上映後だし、iPhoneアプリでお勉強でもしていようか…
と思ったら!日仏一階にあるテレビでうつしてくださった!
感謝感謝。

『少女』を読了後に再度『バルタザール…』鑑賞がおすすめ。面白さ倍増。

少女

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ティーチインの模様はツイッターでフォローしている@kingfisher_girlさんがキレイにまとめてくださっていらっしゃったことですし、私の象形文字にも見えないミミズだらけのメモ書きでは、どうにもこうにも文字には起こせないので、ところどころ掻い摘んだ備忘録をば。

『少女』は回顧録ではない。
『少女』と『バルタザール~』は重なる部分があり実体験に思えるが、そうではないようです。
・ブレッソンと出会ったことの重要性
・映画とは何か
を描いたrécitだそうです。

遅咲きの作家デビュー、ブレッソンを書くにあたり
祖父がフランソワ・モーリヤック、叔父がクロード・モーリアック…といった作家一族だったので「手の届くところに文学があった」というアンヌ、書き始めたのは子供の時からだったそうです。
作家デビューが遅くなったのは、無意識にこの環境がそうさせたことだ、とも。
16歳の時、演劇と映画に興味をもち、フロランス・ドゥレ(『ジャンヌ・ダルク裁判』主演)の紹介でブレッソンに出会い、映画の世界に進出。
30歳を越え仕事がない時期もあり、その苦痛を慰める(?)ために短編を書き始めたとのこと。
実際に自分の本が出版されたことにより、書くことを続けようと思ったそうです。

ブレッソンの死後、彼のことを書くには時間がかかったそうです。
そしてブレッソンのレトロスペクティヴをしたのは、世界で日本が初めてだったのですね。
アンヌは、1999年のTIFFで『バルタザール~』と『ジャンヌ・ダルク裁判』を上映したときの、
日本人の感激ぶりを電話でブレッソンに伝えたそうです。

フランソワ・モーリヤックは宗教的思考について書いていたが、アンヌは?
無神と信仰心の間で揺れ、教育はlaïcité(非宗教性・世俗性)だという考えだ、と答えたアンヌ。
その後すぐに「こんな話をするのはめずらしいことなんですよ★」とキュートな笑顔を見せた。

ブレッソンについて――
ゴダール、パゾリーニ、フェレーリと言った高名な他の監督の作品にも出演しているアンヌ。
でもブレッソン以外の監督については書こうとしない。
撮影の間、一つ屋根の下で生活していたことが大きな影響をアンヌに及ぼしている。
ブレッソン作品の出演者全員が、彼に対して大きな信仰心を抱くのだとか。
(アンヌはその中でも特別だった、とも)
「初めての経験が一番重要なの。恋愛に似て。」と最後に付け加えた。
飼い猫に話しかけていた、というブレッソンの人間味溢れるエピソードを聞けたのは嬉しかった。
(フランスの田舎での猫の扱いの話も衝撃的でしたが…)

ティーチ・インの後はサイン会開催。
憧れのアンヌからサインいただいてしまいました。
握手しました。感無量です。

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贅沢を言えばティーチ・インは同時通訳じゃない方がよかったかも。

彼女の著作は日本語訳されているものが少ないのが残念。
あと、今回の特集で『中国女』も上映されたんだけれど、
日本語字幕のものは、日本国内に存在してないらしい…
今回は無字幕だったけれど日本での上映は貴重な機会になるそうです。

そういえば『東風』ってなんて読むの?ってツイッターでも話題になっていましたが
自分はずっと「こち」って読んでました。
だってこの作品でこの感じが「こち」って読み方があるのを知ったもの。
でも今回、日仏スタッフの方は「とうふう」と発音されていたようで…
評論家の方も「とんぷう」と言われてたそうですが、
ホントはどっちなのーー??

こち⇒春に東から吹く風
とうふう⇒東の風

とうふう…かなあ。悶々。。。