ずっとあなたを愛してる Il y a longtemps que je t’aime

今回のOVNIに「予算に対して儲かったフランス映画」のランキングが載っていた。

1位はダントツで『Bienvenue chez les ch’tis』(シュティの国へようこそ:動員数1500万人!!ちなみにクラピッシュの『PARIS』は180万人ほど。)。
これは納得。
2位の『Mariage chez les Bodin’s』という地域密着型フェイク・ドキュメンタリー。
3位のパルムドール作品『Entre les Murs』などなどに続き、7位にランキングされていたのが、今回試写で涙した『ずっとあなたを愛してる(Il y a longtemps que je t’aime)』。

フィリップ・クローデル初監督作品、アカデミー賞女優クリスティン・スコット・トーマス主役ながらも、ここにランキングされるとは。

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HISTOIRE
15年の刑期を終えたジュリエット。
悲しみに沈む彼女の過去に犯した罪と罰、そして赦し。
人間の心の深淵に迫る、愛と再生の物語。

刑期を終えたジュリエットは、妹のレア一家に身を寄せる。
長い空白期間を経て再開した姉妹はぎこちなく、ジュリエットはレアの夫や娘たちとも距離を置く。
しかし、献身的な妹、無垢な姪に触れ、次第に自分の居場所を見出し始める。
ある日、ジュリエットに、長年封じ込められていた真実をレアに明かす瞬間が訪れる。
―なぜ愛する息子を手に掛けねばならなかったのか?

Pendant 15 années, Juliette n’a eu aucun lien avec sa famille qui l’avait rejetée.
Alors que la vie les a violemment séparées, elle retrouve sa jeune soeur, Léa, qui l’accueille chez elle, auprès de son mari Luc, du père de celui-ci et de leurs fillettes.

ノーメイクで、目の下のクマと顔中に広がる細かいシワ。
時代遅れの肩パッドが入った、明らかにサイズが合っていないコート。
美に対して何年も無頓着で、タバコを深く吸う女。

クリスティンのひどい姿から物語は始まります。

暗い。

ただごとではないドン底具合がわかる。
そこにぎこちなさそうに、急いで近寄って来る女性。

パッと見、姉妹には見えない年齢差だ。

設定上「年の離れた姉妹」というのがあるんだろうけれども、それ以上、親子の関係にすら見える。
なんだ。姉になにがあったんだ。

あらすじを理解していなくても、すぐにその人間関係や何が彼女たちに起こったかが見て取れる。
台詞はそれほど多くないのに。

言葉を巧みに操っていたフィリップ・クローデルは、
映像に関しても鬼才だった。

誰に味方することない。
どの登場人物にも同情できる。

なんだ、この不思議な感覚は。

撮影現場の女性がみな虜になったと言うフレデリック・ピエロの演技。
警部役として出演しているんだけれども、彼の「旅」のくだりは実に切なかった。
(涙ポイントその1)

そして最後。
決してわかりやすいものではない。
だけどすごく清々しい。
(涙ポイントその2)

「感動」とかそういう言葉では片付けられないなにかに、
胸をギュっと締め付けられた作品でした。

日本では12月公開。
今後もフランスブログなどで応援して行きます!

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レアの養女として出演しているベトナム人の少女は、
実はフィリップ・クローデルの養女。
自然で純粋、とても愛らしい。