あなたはまだ何も見ていない Vous n’avez encore rien vu

カイエ・デュ・シネマ週間最後の上映作品・アラン・レネの『あなたはまだ何も見ていない』(Vous n’avez encore rien vu)。

ちょっと前にフランスamazonで頼んでたDVDが届いたー。

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これでようやく、この特集でジャン・コクトーの『オルフェの遺言』が上映されてた所以が理解出来ました。

オルフェの遺言 -私に何故と問い給うな- [DVD]

しかしまあ、この↓軽快且つ謎めいた予告編をいい意味で裏切った、物凄い作品でした。

あらすじはこちら↓
物故した有名な劇作家アントワーヌ・ダンタックは死後の世界から彼の戯曲「エウリディケ」に出演した俳優達を招集し、若い劇団が再演した「エウリディケ」を見せる。果たして愛、生、死、死後の愛は今も舞台に存在するだろうか。
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まず、この間来日時のカラックスの言葉で「映画を作る側に属してから、それまでと同じように映画を観れなくなった」というのを思い出した。

観客としてスクリーンを観ているのに、ふと一人が台詞をつぶやくと、弔うために集まった屋敷が舞台と化す。
それが亡くなった劇作家への弔辞であるのか、或いは自分たちの「死」に対する恐怖心を否定しているのか、舞台上で「生きる」ことの賛辞を呈しているのか…
最初は呟く程度だったのに、いつの間にか画面上からその若者たちの劇団が消えていた。
俳優たちはそこに人生を見出すように全力で演じる。
豪華面子の演技力に圧巻されてしまって、「THE・合成」な映像なのに、イメージが無限大に拡がった。
心が満たされたところで、またしても肩透かし的なオチ!と思いきやー、、、
シナトラ「It Was A Very Good Year」がエンディングで流れ、混乱と感動と。
ピエール・アルディティ、サビーヌ・アゼマ、マチュー・アマルリック、ランベール・ウィルソン、アンヌ・コンシニ、ミシェル・ピコリ…と錚々たる顔ぶれが実名で登場するこの作品、
果たして亡霊は誰だったのか、どこまでが舞台上の出来事だったのか。
うー、日本語字幕、シルヴプレ。

二人のオルフェ、二人のエウリディケ、そして神。
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アンヌ・コンシニって普段から泣き顔よね。

去年マリエンバートで [Blu-ray]

二十四時間の情事 [DVD]

■個人的フランス語メモ
・dramaturge : 劇作家、脚本家
・majordome : 執事
・sacrebleu : なんてこった=sacredieu
・barbiturique : バルビツール酸の (てかバルビツール酸てなんじゃ?)
・fiston : せがれ
・orgie : 乱痴気騒ぎ faire une orgie de qc で「qcをたらふく食う」「qcを満喫する」

「Tiens-toi droite!」と繰り返すシーンがあって、「Tiens-toi droit!」とどう違うのか調べたんですが、「形態論」(morphologie)とやらで、もう形態論って説明をWikipediaで読んでたら、自分のノータリン度を嘆く結果になりました。
ドネモワ言語脳。