『ライオンは今夜死ぬ』 Le lion est mort ce soir

大好きな『ユキとニナ』の諏訪敦彦監督最新作
『ライオンは今夜死ぬ』(Le lion est mort ce soir)を観てきました。

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南仏・コートダジュールの穏やかな光と子供たち、そして老いた俳優、ジャン(ジャン=ピエール・レオー)。
まるで『あこがれ』の子供たちと、年取ったアントワーヌ・ドワネルが、『トリュフォーの思春期』の中で共演しているかのようで、何度も何度も胸が熱くなりました。

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「死は生の一部だ」――
「死」というテーマが根底にありながらも、死の恐怖など微塵も感じさせない、美しい絵の数々。
抱きしめたくなるくらい愛おしいシーンの連続だったのですが
子供たちが作ったフィルムを観た後に、ジャンが
「僕の周りはしかめっ面で映画を撮っている奴らばかりだが、君たちは楽しんで映画を撮っている。それが一番だ」
というシーンで、涙腺が崩壊してしまいました。。
「映画を作る」職種にはまったくかかわっていなくても、
仕事をしていくうえで、とても大事なことを言われているかのようで。
自分の意見を出しながら他者の意見を否定せず(これまさにブレストのお手本)、しかも書記もちゃんといる!
みんながひとつの目標に向かって、楽しく作品を作り出していく姿とジャンのセリフで、一気にこみあげてくるものが。
子供たちから教わることがたくさんありました。

mixi全盛期、「子供が主役のフランス映画」みたいなコミュニティがあって、フォロー(?)してたの思いだしたな。。。
子供がわいわいしている映画でこんなに胸熱になったの、その頃以来かもしれない。

実はこの日は上映後に三浦友和さん(!!)と諏訪監督のトークショーがあったのですが
(撮影禁止のため写真なし)、諏訪監督曰く、子供たちの演技は、ほとんどが即興だったとのこと。

大御所レオー様を「くそじじい!」と貶したり、映画のシナリオを作るシーンなどなど。。
あの自然な感じは、即興だからこそできたのですね。
逆にセリフがあるシーンだと、確かにぎこちないような。そこもまた愛おしいのですが。

諏訪監督は
「ジャン=ピエールは、普通の大人じゃない」と…笑
だから子供たちと対等に演技ができるんですって。
子供たちは即興で演じている反面、レオー様はきっちりかっちり脚本がないとダメだったという…さらに
「ジャン=ピエールはカメラがどこにあるか、カメラの位置をずっと意識している」
らしいです。
この前来日した時は、あまりの撮影禁止っぷりに、てっきりカメラが嫌いなのかと思っていましたが…たぶんカメラを向けられると、役者として過剰に意識してしまうのでしょうね。

三浦さんは
「死を演じられない」というジャンに「演じたらダメよ」とヘアメイクさんが言う、冒頭のシーンでやられた、と。
「俳優は、”あの演技上手かったね”って言われているうちはダメだと思うんです。
ルーヴル美術館に行って、”この絵、上手いね”っていう人、いませんよね。
そういうところにまで辿り着かないと、と。」
とおっしゃっていました。
ベテラン中のベテランである三浦さんでも、悩んでいて、演じることを追及されているというお話が聞けたのはとても感動。
(ただですね、三浦さん、レオー様の名前を出さずに「老人」「あのおじさん」「お爺さん」って話されていたのは若干気になりました。)

ちなみにですね、三浦さんは恵比寿ガーデンシネマの会員らしくて(ユナイテッドシネマの会員てことかな)、平日によくいらっしゃるそうです。
「こんなにお客さんがたくさん入っているの、初めて見ました!」っておっしゃっていました。
平日に映画館で三浦さんとお会いしたら…ドキドキして映画に集中できない(笑)

大きくなったユキ(ノエ・サンピ)ちゃんも、少しだけ出演!
あまりにもきれいになってて、のけぞった~。
(こちらは諏訪監督のFBより)

SNSでの反応を見てみたら「間延びしている」「途中退屈」みたいな意見も少なくないようですが…私は確実に今年のマイベスト10にランクインする作品だ!と思っています。

それにしても恵比寿ガーデンシネマ、「早春」と「ライオンは今夜死ぬ」のハシゴができるのですよ。
公開している間に、このハシゴは体験したい…