『しあわせの雨傘 Potiche』でフランス語を学ぶ。その2

日仏・映画の授業。
復習を兼ねて記事にします。（前回はこちら）
ネタバレ満載なので、未見の方はスルーしてください…

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ババン（ジェラール・ドパルデュー）の住むアパルトマンへやってきたシュザンヌ（カトリーヌ・ドヌーヴ）。
工場員たちに監禁された夫・ロベール（ファブリス・ルキーニ）の解放を手伝ってもらうよう、夫の宿敵ババンへ交渉します。

Alors que me vaut cette présence, Mme Pujol?

どうしてここに？という意味合いだけど、こんな「Alors que」、使ったことないなあ…
夫を解放して欲しいと懇願するシュザンヌに

Qu’est-ce que j’ai à voir là-dedans?

これも簡単な単語の組み合わせですが、
pourquoi vous me demandez ça?
ça n’a rien à voir!
と同意義。うーん、難しいね。

il faut entamer le dialogue
「commencer」でなく「entamer」って言葉を使うのが古風。

宿敵になぜそんな依頼をしてくるのか意味不明、次第に苛立ちだすババン。
シュザンヌは昔の思い出を話し始めます。

Ne remuons pas trop le passé. Ni vous ni moi n’avons à y gagner.
「remuer」はここでは「agiter」と同意義。
過去の話を持ち出さないでくれ。君も僕も何の得もないよ…

出会ったときのエピソードを振り返る二人。
「une erreur de jeunesse」若気の至りだというババンに
「Mufle！」とシュザンヌ。
このMufleってのも古風だけど、非常に上品な言い回しだそうな。

「もー！フランス人ってどうしてこうなのかしら」
と、二人のエピソードを見て呆れるクラスメイトのマダム。
ふふ。確かに・・・・

ここでまたなるほど表現
Quoi qu’il en soit
=En tout cas
ほお。

ロベールを解放する手助けをすることを了承するババン。何かと引き換えに…
Une contrepartie ? Mais M. le député-maire, je n’ose comprendre… à nos âges?
代償って…この歳で？
「ドヌーヴはこういう台詞を放つときの表情がとても巧みだ！」と先生。
ブルジョワジーのポティッシュに、一瞬のかわいらしさが垣間見れます。

…実に台詞が多い…

翌日。
ババンのお陰で解放されたロベールは自宅に戻り、医者の診察を受けています。
医者が一旦帰った後、息子・ローラン（ジェレミー・レニエ）の話に。
ローランは街のお菓子屋マルキゼの娘とつきあっています。それをロベールはよく思っていない。
シュザンヌは「二人の幸せを理解しましょう」と諭すも、聞く耳を持たない。
なぜなら…（あまりにもネタバレなので伏せておきます）

その衝撃的告白にシュザンヌは取り乱します。
「最高の誕生日プレゼントだわ！」と皮肉に。

c’est la goutte d’eau, la goutte d’eau qui fait déborder la potiche!
と捨て台詞を吐き部屋を飛び出るシュザンヌ。
これがまた巧いんですけど、
「c’est la goutte d’eau qui fait déborder le vase」
ってフランス語で「花瓶の水が溢れ出す＝堪忍袋の緒が切れる」という意味なのです。
（veseは花瓶、poticheは本作の原題の“お飾りの壺”を意味します）

さて、ここでロベールの宿敵ババンがプジョル家を訪ねてきます。
ロベールは、ババンに助けられたことなど知る由もありません。
ローランたちはなんとかロベールに見つからないようにと阻止しますが…
怒りを露にしてロベールがババンにつっかかります。

とにかく工場員たちと話し合いを、となだめるシュザンヌの声も聞かず、とにかく怒る叫ぶ騒ぐロベール。
その中で
「Parce qu’il veulent gagner plus, il faudra travailler plus」
という台詞をはくのですが、これがまたサルコジの言葉の引用だとは…

Nicolas Sarkozy “Il faut laisser ceux qui veulent travailler plus pour gagner plus le faire”

相当皮肉ってるね、オゾン君。

では今回の授業のおさらいはここまでー