エリックを探して Looking for Eric

現在公開中の『エリックを探して』を観ました。
’09年のTIFFで上映されたんだっけな。当時観に行く事ができなかったので、公開を待ち焦がれていました。

何をやってもうまくいかず不満だらけの毎日を送っていた郵便局員エリック。
そんな彼の前に、憧れの存在だったサッカー選手エリック・カントナが突然現われた。それ以来、カントナはエリックに様々なアドバイスをするようになり……。

主人公の名前も「エリック」。郵便配達員。
かつてはダンスのように捌いていた郵便物の仕分けも
今や生気も感じられない。
最初の妻に未練タラタラ、再婚した妻には逃げられ
二人の連れ子にも馬鹿にされてるという、わかりやすいダメ中年。
息子の葉っぱを拝借して幻想と覚醒の間を彷徨う最中に、
彼が神と崇めるカントナが目の前に現れた!

エリックが、エリック(カントナ)という“神”の言葉で、自分探しの大冒険。
冒険って言ってもファンタジーでもなんでもなくって
目の前に立ちはだかる至って現実的な苦難を乗り越えてくんだけども。

カントナがトランペットでラ・マルセイエーズを吹くシーンがある。
ピッチ上でプレイする彼のイメージとはうって変わって
お世辞にも上手いとは言えないヘボヘボで弱々しい音が色あせた街に鳴り響く。
こないだ徹子の部屋でドヌーヴ様が「孤独は人間の一部だ」と仰っていたのを聞いたときのショックと同じ。
最強の人間でも弱さと儚さを備え持つということを訴えるような、寂しい音色。
涙しちまったよ。

このまま元妻とのエピソードで終わるのかと思ったところで
まさかの悲劇がエリックを襲うんだけど、そこからの展開が予想以上に爽快で楽しかった。
「勇気」という言葉にあまり動かされない私ですが
「人生なんて意外に小さな勇気で変わる」…
仲間に助けられて悪を成敗するカントナ大作戦に、ものすごいパワーをもらった気がします。
ケン・ローチと言えば鑑賞後に胃もたれを起こすというトラウマがあるんだけど
そのイメージを覆す、愉快痛快な作品でした。

「カモメの群れは漁船を追いかける。
なぜかというと、イワシが撒かれると思っているからさ。
以上、ありがとう。」

かっこよすぎるよ、カントナ。

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カントナのマスク(かぶる方ね)が売ってたら絶対買ったんだけど。
携帯クリーナー200円を購入。

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これってカントナって言うより保毛尾田保毛男ではなかろうか。
青髭…

※メモ※
・「ニート」という言葉はイギリス発祥。
・仲間のスプリーン役ジャスティン・ムーアハウスは
Wエンジンのチャンカワイ(惚れてまうやろーの方)に似て蝶